ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイがBank of America(BofA)株を売っている。
Apple株の売却ほどのインパクトではないが、合わせてみた時に、何が起こっているのだろう。
バークシャーは7月から先月30日にかけ3度にわたってBofA株を売却している。
合計150.1百万株を62億ドルで売却している。
売却後もBofA株式の11.4%を保有する筆頭株主だ。
多くの報道が、米国の金融機関株式に対する大量保有報告書提出義務にからめてこの動きを報じている。
米銀の10%超の株主は、売買後数日以内に開示する義務を負う。
しかし、大手銀行株では数%分を売買するのでも大きな金額が動き、市場から注目され、売買はそう容易ではない。
早い開示は、その後の売買価格を不利にしかねないからだ。
このため、バークシャーがその義務から脱しようとしているのではないかとの観測がなされている。
そうした利点があるのは間違いないが、それ以前の話として、投資会社が純投資先に対して大きな持分を持つことの弊害も重要だろう。
Apple株もBofA株も、それを是正したかったのではないか。
巨大な保険事業を有し、多くの取引上のカウンター・パーティが存在するバークシャーでは、原則的には取引の集中は好まれない。
カウンター・パーティの中には、この点を問題視する向きも多かったはずだ。
それが問題とされなかった一因は、神格化と言っても過言ではないバフェット氏やチャーリー・マンガー氏への尊敬だったのではないか。
マンガー氏は昨年世を去り、バフェット氏は30日に94歳になった。
これまでもそうだったが、バークシャーでは集団指導体制への変化が急がれているはずだ。
Apple株・BofA株で見られる動きは、リスク・オフとともに、バークシャーが生身の人間の会社になっていく過程なのだろう。
そして、生身の会社になるためには、お家芸だった集中投資をやめなければならないのだろう。
(次ページ: バフェット氏が語る、集中投資の意義)