国内経済 書評

【書評】 金融政策の「誤解」 – “壮大な実験”の成果と限界
2016年10月29日

異次元緩和の出口


早川氏は終盤、「マイナス金利つきQQE」の出口がどうなるかを論じている。
翁邦雄 京都大学教授、BNPパリバ河野龍太郎氏らが指摘する「QQEの後は金融抑圧」というストーリーを紹介し、その「マイルド」な先例として、第2次大戦中から1951年までのFRBによる長期国債のペッグを挙げている。


確かに金融抑圧は国家債務の圧縮につながるが、早川氏はヴィクセルの累積過程論を引き、金融抑圧が持続できるのか疑問を呈している。
そして、このストーリー成立の条件として「資本移動規制が必要に」なると説明する。
金融抑圧に嫌気してキャピタル・フライトが起こるのを防ぐには、資本規制が必要となり、それは為替市場への再規制を含むと予想する。
さらに、金融抑圧を実現させるため、金利の自由化にも逆行せざるをえない。
途上国としての日本の出来上がりだ。

9月に日銀は「総括的な検証」を行い、長期金利ターゲットを導入した。
この動きを見て、ベン・バーナンキFRB元議長は、この政策には戦中・戦後のFRBによる長期国債のペッグという先例があると指摘している。
実は、すでに3年前から河野龍太郎氏は同様の指摘を行っていた。
日本は出口における金融抑圧というプロセスをうかがっているのであろうか。

最後に早川氏は、規制回避や価値保蔵の観点で仮想通貨拡大の可能性にも言及している。
円という通貨はそれほど信認が揺らいでいるのであろう。


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