加藤出氏:財務省失墜で必要となる独立機関

東短リサーチの加藤出氏が、日本における独立財政機関(Independent fiscal institution, IFI)の設置を提案している。
日本がIFI設置で遅れているのにはどんな理由があるのだろう。


長期的な対策として、OECDが強く推奨している独立財政機関の設置を日本でも真剣に検討する必要があるだろう。
政府や政党からの影響を受けずに、中立的な立場で経済や財政の中長期的な見通しを作成する機関のことである。

加藤氏が週刊ダイヤモンドで書いている。
IFIを日本も設立すべきとの意見が最近ちらほら聞かれるようになった。
加藤氏の文脈では、前段階として一連のスキャンダルによる財務省の信頼失墜がある。
ただでさえ安倍政権で抑え込まれている財務省がさらに力を失えば、行われるべき財政健全化策が行われなくなる懸念があると言うわけだ。
そこで、権力を行使することはなくとも、中立・独立な立場でファクトに基づいた予想を行うIFIができれば、少なくとも国民は財政の中立な見通しを見ることができる。
それを見て国民が判断を下すはずというわけだ。

IFIの例としては米国のCBO(議会予算局)が真っ先に浮かぶ。
昨年、トランプ政権や共和党が減税・歳出増の政策を進めようとした時にも、CBOはその政策の財政へのインパクトを予想し、それが政治家・市場関係者の助けとなった。
こうした機関が日本にないのは確かに妙だ。
かつて与野党で合意された増税が取りやめられたりする時、いったいどのような前提が変わったのかさえはっきりしない。
とにかく選挙さえすれば変えていいというのであれば、少なくともその際に相応の信頼性のあるデータを示してほしいと考える人も多いはずだ。
日本の財政問題は、景気の具合を見ながら増税タイミングを変えられるほど軽い問題なのか、国民の多くはそれさえ理解していない。


IFI設置に必要なヒトとカネ

加藤氏によれば、OECD加盟国の中ですでに27か国、G7の中で6か国がすでにIFIを採用している。
現在のOECD加盟国は35か国だ。
IFIを採用していないのはOECD加盟国の22%、G7の14%であり、日本がその一員であるのは恥ずかしいことなのだろう。
これには何か理由があるに違いない。
IFIを設置するのはそんなに大変なことなのか。

OECD各国の独立財政機関
OECD各国の独立財政機関

規模が最大の米国でさえ人員235名、予算46.5百万ドル(約50億円)だ。
中には1桁の人員、1億円に満たない予算でやっている国もある。
日本がIFIを持たないのは、人材やお金のためではあるまい。

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