ジェレミー・シーゲル:バリュエーションはいまだ魅力的

ウォートンの魔術師Jeremy Siegel教授が、今年と来年の米企業収益・株式市場について語った。
シーゲル教授としてはかなり弱気ともとれるが、それでも長期投資家には保有継続を奨めている。

「私かかなり中立の市場見通しを持っている。
昨年9月、2017年のすばらしい年に続いて今年も強いとし、0-10%の上昇と予想した。
その予想を変更する理由は今のところない。」


強気でならすシーゲル教授がCNBCで自ら「中立」と評している。
今年の米市場は横ばいから少し上昇の年になるとの予想だ。
理由は単純明快。
いい材料と悪い材料が存在し「衝突」しているからだ。
・企業業績はいい
・金利上昇は悪い

シーゲル教授は、米中貿易摩擦が潜在的に市場に影響を及ぼしうると認めるものの、今後さほど大きな材料にならないだろうと予想する。
米中共に貿易戦争は望んでおらず、両者の顔が立つところで手打ちになると考えているからだ。

むしろ、シーゲル教授が心配するのは今年10月の中間選挙だ。
共和党が安定多数を確保するのは難しく、共和党の政策の実現が難しくなると予想される。
ただし、民主党が多数をとっても、経済・市場に大きな変化が起こるとも考えていない。
教授の中で最重要なのは法人減税(恒久減税)であり、これは昨年12月に法案が可決済みだ。
今後、個人減税延長、インフラ支出など他の政策の実現は難しくなろうが、教授にとっての優先順位は高くない。
旧来の共和党的政策を支持している教授は、これ以上の財政政策を好ましく思っていない節がある。


「長期的財政赤字は脅威だ。
米国債の供給増が財政赤字だけでなくFRBが2,000-3,000億ドル売る(再投資しない)ことで起こる。
これが市場を圧迫する。
2018年に10年金利が3.25%となれば、株式の上昇は止まる。」

と、金利上昇の悪影響を心配した。

シーゲル教授は今年・来年の企業収益を解説する。

  • 2018年: 法人税率引き下げによって何もしなくても税引後利益は前期比で大幅改善する。
    減価償却費の前倒し計上により、さらに税金が減る。
  • 2019年以降: 法人税率引き下げの効果は前年比では消える。
    減価償却費は前年に前倒しされたため、減ってしまう。

だから、シーゲル教授は今年がいい年になり、その後は苦戦すると予想している。

「2019年は経済成長によって企業収益を向上させなければならない。
今年ほど簡単ではない。・・・
2018年の企業収益改善を10%と見ているが、2019年には5%になる可能性が高い。」

市場には今年・来年も10-15%の企業収益改善を見込む向きがあるが、シーゲル教授は実現しないだろうと斬って捨てている。
一方、堅調な景気・企業収益はFRBの政策をさらに引き締め側に動かす可能性がある。
米経済はかなりの高成長にあり、景気のソフトランディングのためにFRBが金融引き締めを強めるかもしれない。
シーゲル教授はこのさじ加減が難しいと指摘する。

シーゲル教授の頭は心配事でいっぱいだが、それでも《永遠のブル》は健在だ。
あくまで「中立」であって、弱気相場を予想しているわけではないという。

長期投資家にとってバリュエーションはとても魅力的だ。
今年の利益の18倍の水準だ。
だから売ろうとは思わない。

この背景には、米国株市場がたとえ弱気相場に入っても、必ず再びそれを取り戻しさらに上昇してきたという事実がある。


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