アインホーン:ヘッジが効いていない

David Einhorn氏のGreenlight Capitalが苦戦している。
その様子をみると、ヘッジ・ファンドという類型の自由さに怖ささえ覚えるのだ。


「グリーンライト・キャピタルのファンドは2018年第1四半期、手数料・費用差引後リターン(ロス)は-13.6%だった。
この四半期、S&P 500指数のリターン(ロス)は-0.8%だった。」

アインホーン氏が3日付投資家向け書簡で明かにした。
バリュー投資を操るヘッジ・ファンド・マネージャーとして人気も高い同氏だけに、この大きなロスが市場で注目を集めている。
もちろん、アインホーン氏もベテランの域に入っており、これまでも多く浮き沈みを経験している。
過去にも―5%未満となったケースは4回あったが、いずれも理由がはっきりしていたのだという。

「今回はそのいずれとも異なっている。
何も(原因となった)イベント・個別のポジションがない。
損失はポートフォリオ全体に広がっているが、概して浅い。」

つまり、原因がはっきりしない大幅ロスなのである。

グリーンライトはヘッジ・ファンドと呼ばれるが、その投資戦略はある分類でいうと「株式ロング・ショート」型ということになる。
アインホーン氏はバリュー投資家だから、ファンダメンタルズに対して
・割安株を買い
・割高株を売る
ということになる。


ヘッジ・ファンドがヘッジ・ファンドと名付けられたゆえんは、大きなリスク(たとえば市場リスク)をヘッジ(中立化)しながらリターンを目指すからであろう。
しかし、実際のヘッジ・ファンドはあまりにも多くのリスクをヘッジせずに残している。
本来ならわずかなトラッキング・エラーだけ残すはずが、むしろ大きなリスクを残すことで収益機会にしようというファンドも多い。
アインホーン氏がグリーンライトをヘッジ・ファンドと考えているかどうかはわからない。
(例えば、バウポスト・グループのセス・クラーマン氏は、自社ファンドをヘッジ・ファンドとは考えていないと表明している。)
呼び方はどうあれ、グリーンライトもあまりヘッジしないタイプのヘッジ・ファンドなのだろう。
今回グリーンライトで起こったのは
・ロング銘柄が下がり
・ショート銘柄が上がった
のである。

第1四半期に起こったボラティリティ上昇はヘッジ・ファンドにとっては概して有利な変化であるはずだった。
市場は混乱したが、結局は大きく一方方向に動いたわけではなかった。
こうした場合、市場リスクをヘッジしていたファンドは高ボラティリティを収益機会にできたはずだ。
ヘッジ・ポートフォリオを組まなくとも、スウィング・トレードだけでも儲かるチャンスはあった。

しかし、その影響には大きなむらがあるようだ。
かなりまっとうなやり方をしていると言われるアインホーン氏が大きく負けている。
しかし、同氏はひるまない。

「私たちの投資テーマは有効であり続けていると信じている。
最近の結果にかかわらず、わが社のポートフォリオは長い時間を通せば良好なパフォーマンスを上げるはずだ。
ある程度、今四半期の結果は、長い期間継続した極めて大きな成長パフォーマンスから来ている。」

過去が出来すぎだったから、今四半期は少し反動が出たとの言い訳だ。
アインホーン氏は、今四半期でのロング/ショート・ポジションを明かしているが、それによればロングを縮小したことがわかる。

時点 ロング ショート
1月1日 133% 82%
3月末 111% 82%

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