サマーズ:中国が米国の脅しに乗らない理由

ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が、米中貿易摩擦を分析している。
タイトルには「4つの理由」となっているが、なぜか5つの理由を挙げている。


サマーズ氏がThe Washignton Postほかに寄稿した5つの理由の骨子は以下の通り。

1) グローバリゼーションと貿易は米経済を混乱させたが、これは前世代の貿易協定のせいではない。
本当の原因は新興市場が世界経済の主役に成長したためだ。

2) 中国との2国間交渉で解決できることはない。
中国が人民元高を誘導したこともあり、今やその経常黒字は、数年前に米国が交渉の目標とした水準よりはるかに低くなっている。


3) 外資規制によって技術流出が起こることは問題だが、それが米雇用に大きな悪影響を及ぼすわけではない。
多くの場合、技術を得た中国企業は中国国内向けに製造・販売している。

4) 2国間で中国に警告するのは米国にとって得策ではない。
WTOなど国際ルールを無視することで、多くの国が中国側に回ってしまうし、中国は米国以外への輸出を続けるだけだ。

5) 脅しは真実味がなければいけないが、皆はすっかり米国のポーズを見透かしている。
市場もそうだし、中国もそうだ。

トランプ政権のやり方が乱暴すぎるのは事実だし、現状、中国の方が一枚上手であるのも間違いない。
ただ、こうした議論を聴いていて思うのは、トランプ政権への批判が先に立ってしまい、問題を認識していながら解決策を提示しないで終わってしまうことが多いということだ。
中国の知的財産権の取り込み方や、世界的な貿易不均衡に問題があるとするなら、それに対する解決策が具体的に提示されないかぎり、ポピュリストの目くらまし的な政策が続いてしまうのだろう。


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