加藤出氏:2%インフレは本当に望ましいのか

東短リサーチの加藤出氏が、手触り感のある物価目標への論評を行っている。
あらためて異次元緩和の是非そのものを議論すべきと説いている。


(2%物価目標の)その早期実現は国民にとって本当に望ましいのか。

加藤氏が週刊ダイヤモンドであらためて問うている。
この問い自体に新鮮味はない。
リフレ政策採用前からさかんに議論された論点だ。
日銀の2%物価目標は「国際標準」ということで正当化されてきたのがこの数年。
しかし、この問いはまだ決着が着いたとは言いがたい。
欧米は相次いで2%物価目標達成前に金融緩和を緩めようとしている。

加藤氏は寄稿の中で、手触り感のある物価の議論をしている。
欧米で物価目標を牽引してきたとされるサービスや外食の分野で、1998年と今年で価格がどう変化したかを紹介している。
例えば地下鉄の初乗り料金といった具合だ。
東京メトロは160円から170円に上昇したが、ニューヨークでは1.5ドルから2.75ドルに上昇しているという。
20年で東京が6.2%、ニューヨークが83%だ。
年あたりにすると東京が0.3%、ニューヨークが3.1%となる。
米国はそれでも2%物価目標を達成できていない。
加藤氏は問いかける。


「日本でも英米なみにサービスや外食が激しく値上がりしないとインフレ目標は達成できない。」

こうした大きな物価上昇を国民は許容できるだろうか。
国民に笑顔を保たせるほど大きな賃上げで政府や企業は応えることができるのだろうか。
そうでなければ、日銀の2%物価目標とは、国民に窮乏を強いる政策になってしまう。
リフレ派を支持する人、あるいは広く国民は、こうした帰結を正しく理解できているのだろうか。
異次元緩和とはいったい何を、誰の幸福を目指した政策なのだろう。

家計でなければ企業なのか。
3月のReuters調査では日本企業の見識を示す結果が出ている。

「金融緩和策の出口に向かって日銀が政策を進めることに7割以上の企業が賛成と答えた。・・・消費税率10%への引き上げについては、高齢化社会の到来に伴い財政健全化が急務だとして、6割程度の企業が実施すべきと回答。」

どうやら企業への忖度でもないようだ。

加藤氏は2期目に入った黒田 日銀に金融政策の見直しを促している。

インフレ押し上げ効果は限られている一方で、副作用が今後噴出する恐れがある日銀の超金融緩和策を漫然と続けることは正しいのか。
あらためて議論すべき時期が来ている。


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