ジェレミー・グランサム:米経済が乖離する可能性

バブルの研究家として有名なバリュー投資家 ジェレミー・グランサム氏が、米市場の極度の割高感を指摘した。
米経済・市場の記録的な拡大が、それらを世界の経済・市場と乖離させる可能性さえあると言う。


いいところまでいっているけどまだだ。
現状の企業収益を考えると、市場は比較的よくコントロールされた熱狂のない極めて割高な市場というべきだ。

グランサム氏はInvestmentNewsの「株式市場はバブルか」との問いに答えている。
グランサム氏の定義からすれば、現状の割高感だけではバブルとは言えないようだ。
他方で、減税・規制緩和の効果が望めるとしても、現在の割高感はこの数年だけでなく過去20年で見ても著しいと指摘している。
プロ・ビジネスの政策は企業収益を史上最高水準まで上げるだろうと予想するが、いつかは逆戻りを始めると言う。

グランサム氏は1月、米株式の強気相場が「噴火またはメルトアップの局面に入る」と予想して投資家らを湧かせた。
その後1月末からの市場下落があって、同氏の考えは変わったのだろうか。

「1月の見通しを書いていた11-12月、私は(メルトアップを)確信していたんだ。
今では、遠くない将来に(メルトアップが)起こる確率を50%超から40%超に下方修正したよ。」

グランサム氏は下方修正の理由をいくつか挙げる:

  • 1月の価格上昇と投機への関心の高まりが十分とは言えなかった。
  • 2月の下落が腰を折った。
  • 貿易戦争への懸念が拭えない。
  • 30年続いた金利低下の追い風がおそらく終わった。

小さな懸念材料を多く抱え、市場が苦戦する確率が高まったとグランサム氏は考えている。
例として《市場が15%下落、企業収益は20%上昇するが期待外れ、PERが魅力的なレンジに戻って来る》といったシナリオだ。
しかし、そうしたシナリオが実現する確率は低いともグランサム氏は言う。


「市場は劇的な暴落を好むものだ。
でも、だからと言って起こらないとは限らない。」

グランサム氏は、メルトアップの可能性が高まる時期、市場関係者はさまざまな難しい立場に置かれうると話す。
バブルに乗ろうとすれば後に危うくなり、乗らなければ投資家から叱られるなどだ。
老投資家はまず冷静になるよういさめ、自身の手の内を明かしている。

「私たちのファンドでは資産の0.8%をアウト・オブ・マネーのコール・オプションに投資している。
メルトアップで市場が30%上昇すれば10%リターンになる。
資産の0.8%だから、安心していられる。」

資産の大半をメルトアップにかけるのではなく、金額を限定して賭けるべきとの考えだ。
アウト・オブ・マネーのオプションならばコストは小さく、メルトアップならば上昇幅が大きいからそこそこのリターンが望める。
グランサム氏はさらに資産の4%をビットコインやFANGに投資するアイデアも話しているが、本気度は薄そうだ。

グランサム氏はバリュー投資家としての信念から新興国市場が有望と考えている。
過去を紐解けば、米市場が売られれば新興国市場からの資金流出が起こり、新興国市場はより大きな下落を被りかねないというのが経験則だった。
しかし、今この経験則に異を唱える人が少なくない。
グランサム氏も、次の下落局面では新興国市場の下げ幅が小さくなり、回復局面でも大きくリバウンドすると予想している。
それどころか、米経済が不況に入っても新興国が不況入りしない可能性さえあるのだという。

(長い景気回復で株式市場が異例なほど割高になったことで)第2次大戦以降初めての状況が起こっている。
経済の動向が乖離する可能性がある。
米市場が下落しても、新興国市場が20%、MSCI(欧州、豪、極東)指数が7%上昇してもおかしくない。


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