米景気は大統領選の年までもつか?

米景気はいつ後退に向かうのか、これが市場の関心事になりつつある。
株式市場には先行性があるから、景気後退から逆算していつ電車から降りればいいのか、投資家は知りたがっているのだ。


以前調べた通り、最近4回の米景気縮小局面では米国株市場は単純平均で8.5か月程度先行して下落を始めている。
景気縮小局面から半年-1年前にはパーティから失礼した方がいいということになる。
問題はいつ景気縮小に向かうかだが、これを的確に予想するのは難しい。
また、注目を集める人物・組織がこれを予想すれば、その予想が将来に作用していまう。
ある時は自己実現的に、ある時は予想を外すように作用するかもしれない。

おまけに、現在の世界経済はとても予想が難しい状況にある。
不確実な要素がいつになく多く存在するように思えるからだ。
Bloombergが、トランプ大統領が2選を目指すことになる2020年の経済について識者の意見をまとめている。


  • ムーディーズ: 「2020年は本当の転換点になる。」
    「2020年の景気縮小を避けたければ、本当に良い政策と幸運が必要になる。」
  • エバーコアISI: 関係する不確実性を考えれば、2020年の不況を予想しても「徒労」だ。
    FRBが利上げを進めすぎれば「列車事故」に。
  • IHSマークイット: 「今年についてはとても楽観しているし、2019年にもかなり楽観している。
    (その後から)私の心配は始まる。」
  • アレン・サイナイ: 「米国は完ぺきに健康な人間のような状況かもしれないが、ビルからブロックが落ちてきて死んでしまうかもしれない。」
  • IIF: トランプ大統領と議会が「ガソリンを浴びせかける」だろう。
  • JP Morgan: 財政政策による成長押し上げは今年の0.5%から来年には0.25%へと縮小し、2020年には相殺されてしまう。
  • パウエルFRB議長: 2020年の金利予想について「(FRBには)そんな遠くの未来まで予想する能力はない。」
  • PIMCO: 金融政策が引き締め的になると、必ず不況が地平線に見え始める。」
  • ドイツ銀行: みんな不況を予想したがらない。
    GDP予想は2018年2.9%、2019年2.5%、2020年1.5%。

総じて言えるのは、今年の米経済について楽観する人が多いということだろう。
すでに好景気の中で今年から始まる謎の減税・財政支出増が景気を押し上げると見ているからだ。
この効果は徐々に低減するだろうが、来年まではそこそこの効果を維持するかもしれない。
また、トランプ政権は今年も謎の財政刺激策を継続するかもしれない。
大統領はとにかく大統領選の年まで景気を高く維持しようとするだろうからだ。

一方、米景気拡大はすでに105か月に及び、かなり伸びきった感も拭えない。
景気拡大が続くから一概に景気縮小に向かう確率が高まるとは言えないのだろうが、少なくとも人々のマインドはやはり影響を受ける。
米市場最長の景気拡大が予想される反面、人々の疑心暗鬼も募っていく。

長く続いた景気を大統領はさらに長く引っ張ろうとしている。
一方、FRBは景気の過熱感を好機とばかりに金融政策正常化を進めている。
これは財政政策の副作用とともに金利を上昇させ、景気の首を絞めるかもしれない。
そうなれば、トランプ大統領がさらに無理筋の財政政策を講じ、あわせてFRBに金融緩和のプレッシャーをかけるのではないか。
市場はそう考えている。
しかし、それに効果があるのかどうか、そこを見極めかねているのだ。


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