ジャネット・イエレン:金融・財政政策の前提

FRB議長職から退任したジャネット・イエレン氏がペンシルベニア大学ウォートン校でジェレミー・シーゲル教授のインタビューを受けている。
マクロ経済政策について学者らしい理屈っぽい話を語っている。

「私は今ではトービンと似た考えを持っている。
金融・財政政策の両方が経済に影響を及ぼす。」


イエレン氏はウォートンでのインタビューで経済政策について語っている。
リーマン危機後の経済の疲弊からつい最近まで、米国では金融政策への依存が続いていた。
金融政策への依存は中央銀行を非伝統的経済政策に追い込み、今ではそこからの脱出が容易でないことが心配されている。
イエレン氏はシーゲル教授に尋ねられ、マクロ経済政策のあり方について解説している。

マネタリズムは『ただマネーだけが重要だ』という見方をしている。
財政政策は名目GDPには重要でなく、マネーだけが重要だという。
ケインジアンはしばしば歪められ『ケインジアンはただ税制政策だけを重視し、マネタリストはマネーだけを重視する』と言われる。
真実は、一般に認められた本当に極端な状況では両方が重要だとほとんどの人に信じられているということだ。


この最後の1文こそがイエレン氏のFRB時代を支えた信念だったのだろう。
リーマン危機の頃、イエレン氏はバーナンキFRB議長(当時)を副議長として支えた。
100年に一度という危機の中、大胆な金融緩和を行い、米経済が奈落の底に落ちるのを食い止めた。
これこそ「本当に極端な状況」であったろう。
自身が議長に就任すると、もはや「極端な状況」とは言えない経済環境だった。
当時はハト派と考えられていたイエレン氏は、なんとか金融政策の正常化を図ろうとする。
奇しくもトランプ大統領が大規模な財政政策を打つ今となって、イエレン議長が望んだ正常化はピッチを上げている。

イエレン氏は金融・財政政策が正当化されうる前提を語っている。

その前提は、適切に用いられることだ。
(金融・財政政策は)経済の安定化のために望ましい効果だけでなく逆効果も及ぼしうるからだ。

イエレン議長はFRBが引き続き難しい課題に直面していると話す。
最大の課題は金融政策正常化のさじ加減だ。
ゆっくりしすぎれは経済は過熱し、速すぎれば景気をオーバーキルしてしまう。
この課題を第一に語った後、イエレン氏は次に重要な課題に話を移した。
金融システム安定の維持が重要といい、資産価格の高騰への懸念を語った。

「私は資産価格の適正水準がどこかはわからない。
しかし、典型的なPERについて言えば、株式、不動産、その他の資産についても過去の水準に照らしてエスカレートしていると言える。
金利が低いのは事実だし、低金利は高PERを期待させる一因だろう。
しかし、現在の金利水準を前提にしても、株価はおそらく高い。」


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