佐々木融氏:恐怖感で隠されたファンダメンタルズ

JP Morganの佐々木融氏が珍しくとても感覚的なコラムを書いている。
さしたる具体的根拠もなく《なんとなく予感がする》といったトーンで書かれており微笑ましい。


世界の金融資本市場にとっての問題は、米国と中国が続けるチキンレースに対する恐怖感だけで市場が混乱してしまうことかもしれない。

佐々木氏がReutersへの寄稿で書いている。
トランプ関税についてはすっかりコンセンサスが出来上がっているようだ。
米中の貿易摩擦とは寸止め空手のようなもので、その直接的影響は限定的というものだ。
しかし、寸止め空手でも何かの拍子にハード・ヒットしてしまうかもしれない。
そうした偶発事故への恐れが思わぬ混乱を招きかねない。
それこそ最大のリスクというものだ。

中国が1.17兆ドル保有する米国債を売却するかもしれないという憶測も広まっているが、実際に売却しても誰の得にもならないのは明らかだ。
しかし、米国債市場がこうした思惑に反応してしまう可能性は否定できない。

リスク・シナリオは無視できないが、メイン・シナリオはあくまでハッピー・エンドだ。
佐々木氏は、米中が話し合いの席につくと予想している。
では、短期的にドル円はどう動くと予想しているのか。


「短期的な円ショートポジションの手じまいはほぼ完了したと考えても良さそうだ。
・・・最大103円台半ば程度までのオーバーシュートのリスクは見ておく必要はありそうだ。」

まだしばらくリスク・オフの円高が進む可能性があると見ているのだ。
ただし、それは一時的なもので終わり、もう少し長いホライズンでは円安が基調になると滲ませている。

実はこのコラムの要点は為替ではない。
《あと2円オーバーシュートするかもしれないが一時的なものだ》というような話はとてもふわふわしたものにすぎず、少し時間が経てば鮮度が落ちて意味がなくなってしまう。
もっと骨太な話がこのコラムには書かれている。

当社は、世界の企業収益は今年も前年比2桁台の強い伸びを示すと予想している。
こうした企業収益の力強い伸びを背景に、設備投資も堅調だろう。
世界のマクロ経済ファンダメンタルズは依然として強いのだ。

このコラムで最も重要なのは、JP Morganが世界経済に対して極めて強気な見方を堅持しているというところだ。
これが日本の市場・投資家のセンチメントと大きく異なっている。
本邦投資家は重大な上昇局面でリターンを取りこぼすかもしれない。
(もちろん逆もありうる。)

米国はもちろん日本の株価も決して安いとは言えない。
だからここから大きく買い増すのは「Buy low, sell high.」の原則に逆行してしまう。
しかし、あまり株式へのエクスポージャーを減らしすぎてはいけない。
ポートフォリオ管理とは相場の上げ下げを予想することではなく、分散しバランスを保つことにある。


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