スティーブン・ローチ:中国が米国債を売ると・・・

元モルガン・スタンレー・アジア会長Stephen Roach氏は、米中貿易摩擦に米国債というトピックが加わる可能性を指摘している。
米国が無理を言い続ければ、《米国債はもう買わない、売る》との脅しが中国の最後の手段になりかねないという。


「米国は経済ではなく政治的な理由でかなり深刻な誤りを犯したと思っている。」

ローチ氏はBloombergでトランプ政権の失策を批判した。
鉄鋼・アルミへの関税は中国にたいした打撃を与えないばかりかトランプ大統領が救おうとしていた人たちを害するだけで終わるという。
政権の経済政策への見識は乏しく、ゲイリー・コーン国家経済会議委員長らの退任によってさらに悪化するだろうと心配した。

ローチ氏は今回の中国の対応が賢明かつ控えめであることを気に掛ける。
中国に何か腹案があるのではないかと心配しているのだ。

(中国による)米国債購入が変化する可能性がある。
・・・(米国債購入の方針変更は)おそらく中国の最後の防衛手段だろう。


中国や日本など経常黒字国は、貿易で稼いだ額の多くを対米投資に充てている。
中・日はFRBを除けば米国債のNo.1、No.2の投資家である。
その中国が米国債を買わない・売るとなれば、同市場の需給は大きく緩み、投資家の心理は悪化し、米金利は急騰するだろう。
金利急騰は不況をもたらし、資産価格を急落させる。

ローチ氏は、中国がすぐさま米国債購入方針を変更するとは考えていない。
しかし、米国が中国へのプレッシャーを強めていけば、中国がこのトピックで脅し返す可能性があると指摘している。

金貸しと借主との関係は一蓮托生だ。
中国が米国債をタネに米国を脅すことで米国債が下落するようなことになれば、最大の外国投資家である中国自体の損になる。
厄介なことに、その時、No.2の外国投資家である日本までとばっちりを受けることになる。
こうしたドミノ倒しを嫌い、中国は外貨準備の分散を進めているとの噂も聞かれる。
残念なことに、米国と同盟関係にある日本の場合、中国ほどにはあからさまな行動はとれないのだろう。

ローレンス・サマーズ元財務長官はCNBC番組で、中国の米国債購入方針変更が噂されていることについて「ショックだ」と答えた。
しかし、現状それが実現する可能性はないだろうとの見方を述べている。


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