マーク・ファーバー:債務は危機前より増えている

スイス人著名投資家マーク・ファーバー氏は、市場の調整・弱気相場入りはまだこれからだと考えている。
また、米国の保護主義は米国の劣勢の裏返しだと話している。


「私はだいぶ前から調整を予想しているが、その調整はまだ実現していない。
しかし、それが起これば、もっと厳しいことになる。」

ファーバー氏が印ETで、大幅な株式市場の調整を予想した。
同氏からすれば1月末から始まった下落も先週の下落もたいした話ではない。
予想される下落幅は本格調整なら20%、弱気相場入りなら40%といった規模になると言う。
これまでの下落はたいして深刻ではなかったが、将来の調整・弱気相場は極めて深刻な結果を生むだろうと話す。
その根拠はレバレッジ頼みの経済拡大にある。

「アジアには莫大な流動性があるが、それを打ち消すように債務も莫大に存在する。
現在の世界の債務レベル対GDP比率は、危機発生前の2007年より50%以上も大きい。
2009年6月以降、経済は控えめな拡大を続けた。
それは量的緩和と信用に支えられたもので、おそらくこれ以上信用を増やしてもプラスにならないところまで信用レベルは達してしまった。」

ファーバー氏によれば、人類5,000年の歴史で現在ほど超低金利の時代はなかった。
すでに長く続いた超低金利がさらに長く続くとは考えにくいと言う。
金利上昇がレバレッジの伸びきった経済に大きな打撃を与えるのは言うまでもない。
ファーバー氏はこう読みながらも、短中期的には一ひねりある予想をしている。


「今年これからか来年やってくるかもしれない景気後退が起こることで、もう1回金利が低下する可能性がある。
このため、私は米国債をいくらかロングしている。」

景気拡大は史上最長に迫る勢いだ。
景気拡大が長く続いた分、景気後退が近づいているように感じられる。
景気後退がやってくれば市場金利は自発的に低下するだろうし、中央銀行も金融緩和に舵を切り戻すだろう。

ファーバー氏は、トランプ政権の保護主義が米国にとって利益にならず、むしろ不利益になると話す。

「(グローバル化で)米国はある程度しっぺ返しを食っている。
あなたも知っているように米国はフェア・プレイヤーではないので、ネガティブな反応をしている。
米国の貿易制裁・貿易障壁は中国ほかの国にとってさほどネガティブなものではない。
むしろ、米国にとってネガティブなものだ。」

かつて米国が輝いていた時代、グローバル化は米国にとってプラスでしかなかった。
それが今では新興国から逆に押されてしまっている。
米国の保護主義は自国の劣勢を貿易戦争で取り返そうとするものだとファーバー氏は考えている。

「過去30-40年で変わったことは、以前はアジアや世界が米中心で回っていたのが、アジアがより中国中心となり、世界経済が多面的になったということだ。
相対的に米国は重要性を失った。
同時に、イラク・シリア・リビア・アフガニスタンなど米国が手をつけ混乱させた干渉の失敗により米国は威信をも失ったんだ。」


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