ロバート・シラー:Make America Great Depression Again

ロバート・シラー教授が景気後退への心配を強めている。
現在のトランプ景気は大衆心理の影響が大きいとし、心理的な要因で後退も起こりうるという。


景気後退のような大きな変化が待っている時、経済学者はそれを予想するのが不得意だ。
本当のところ、経済が1-2年のうちにどうなるのか予想することはできない。

シラー教授はThe New York Timesへの寄稿で、経済学者の予想能力の限界を明かしている。
フィラデルフィア連銀による調査データを挙げ、職業的予想者の経済予想は3か月先ならいくらか意味があるが、1年以降のこととなるとまったく意味がなくなるという。
最近の同調査では1年後の景気後退の確率が17%とされているが、これは1970年以降の全調査の平均と同じであり「予想者はこのホライズンで何も特別なことはないと言っている」にすぎないと教授は書いている。
ちなみに前回の景気後退からすでに105か月経っており、周知のとおり史上最長に近づいている。

シラー教授は、経済学者にも経済を予想できないという。
そして、その限界は今のような時期、トランプ景気と呼ばれるような時期にはさらに大きくなるという。
トランプ大統領が「大衆心理に与える独特で偏った効果」が経済データを混乱させることがあるからだ。
教授は、大統領の政策効果について、大衆に与える精神的な効果が大きく効いているとし、主要な信頼感指数を押し上げていると指摘する。
行動経済学者としては格好の研究対象と言うわけだ。
そして、教授は不吉な先例に言及する。


「狂騒の20年代(実業界に冒険精神が高まった10年間)の無謀な繁栄のような長期的な経済現象をもたらす大きな精神的変化について、信頼感指数はいつも見過ごしてしまう。
この信頼感は崩壊し、1930年代大恐慌(非難と絶望の波で特徴づけられる期間)の暗闇へと変化した。
この10年間が進むうち『趨勢的停滞』という言葉が流行るようになった。」

シラー教授は大統領選後、トランプ政権がカルビン・クーリッジ政権(1923年8月3日–1929年3月4日)の再来になりうるとの懸念を呈していた。
トランプ大統領とクーリッジ大統領では異なる点も多いが、一点プロ・ビジネスという点で共通している。
プロ・ビジネスが生むナラティブ(物語)が多くの違いを乗り越えてしまう可能性がないと誰が言えるだろう。
そして、クーリッジ大統領と言えば、狂騒の20年代を演出し、退任直後に大暴落が起こったことで有名だ。
シラー教授はトランプ大統領の「米国を再び偉大な国に」(Make America Great Again)という時の「Great」が、大恐慌(Great Depression)の「Great」にならないか心配している。

「いつか相応の景気後退がやってくる。
・・・何がそれを引き起こすかはわからない。
しかし、間違いなく景気後退はやってくる。」

何がそれを引き起こすのか。
それが大衆心理に根差すものなら2000年のドットコム・バブル崩壊のきっかけのようなものになるかもしれないし、保護主義によるトランプ大統領の自滅かもしれないと教授は書いている。
あるいは、大衆心理には直接的には作用しない、もっと小さなきっかけかもしれないという。


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