ジェレミー・シーゲル:2発目が効いた

ウォートンの魔術師Jeremy Siegel教授が、先週末の米市場の下落を解説している。
そこには、空前の金融緩和の時代からの市場心理の大きな変化が見受けられる。


「今日(22日)はワンツーパンチだった。
直接的な要因は関税に関する不確実性だろう。」

シーゲル教授はCNBCで先週22日の米市場の下落についてコメントしている。
FOMCの翌日の下落について、教授は2つの要因があったと分析している。
1つはトランプ政権の鉄鋼・アルミ関税だが、それとは別により本質的な要因が存在すると言う。
それが、FRBの長期的なタカ派スタンスだ。

「FRBが年内利上げを4回としなかったので、昨日(21日)は条件反射で好意的に受け止められた。
しかし、FOMCメンバーによる2020年のFF金利予想のメジアンは最大3.6%となっている。
米10年債利回りは今2.8%だ。」

この大小関係が、市場にイールド・カーブの逆ざや化を心配させたと言う。
シーゲル教授は、第2次大戦後イールド・カーブが逆ざや化したすべての事例で、その後に景気後退が訪れたという経験則を提示している。
《永遠のブル》と呼ばれた教授も、史上空前の金融緩和の巻き戻しが進む中で強気を通すのが難しくなっているようだ。
解釈が弱気に振れざるをえない様子が見て取れる。


2つのありうる反論に対し、楽観できないとの結論を下している。
1つ目は、FF金利とともに長期側の金利も上昇する可能性だ。

「もちろん、それまでに10年債利回りも大きく上昇すると予想することはできる。
しかし、そう予想されるなら、すでに10年債がショートされているはずだ。」

FRB予想どおりに短期金利が上昇し、イールド・カーブが逆ざや化しないように長期金利も上昇するという反論だ。
この場合、長期金利に対するFRBと市場の予想に大きな乖離が存在することになる。
FRBが正しく利上げペースが適切ならば、市場が誤りを正して長期金利が上昇することになり、それはそれで不吉だ。
FRBが誤っており利上げペースが速すぎるなら、米経済・市場は短期金利引き上げによってオーバーキルされかねない。

2つ目の反論は、FRBが聞こえよりハト派的になるケースだ。

「他の人は、FRBがそこまでタカ派的にはならないと言うかもしれない。
しかし、FRBが四半期ごとの利上げを行わない場合、その前に悪いニュースがあったことになる。」

米経済・市場がゴルディロックスにあると言われていた時は《悪いニュースはいいニュース》とされてきた。
悪いニュースがあればFRBがハト派側に舵を切り、すべての問題を解決してくれるという信仰だった。
しかし、そういうレトリックもだんだん用いられなくなってきたようだ。
人々のセンチメントが変化を始めているのだろう。


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