ケネス・ロゴフ:トランプは株価下落を望まない

Kenneth Rogoffハーバード大学教授が、トランプ大統領のFRB人事について評価した。
一方、今後はFRBへの圧力を増やし、その独立性を揺るがすだろうとも予想した。


トランプは、本当の対立が勃発する時のために準備しているのかもしれない。

ロゴフ教授がProject Syndicateで書いている。
ここで言う対立とは、トランプ政権とFRBの対立のことだ。
大統領選挙期間中、トランプ候補(当時)は激しくイエレン議長(当時)のFRBを非難してきた。
イエレン議長がヒラリー・クリントン候補に有利になるように、非伝統的な金融刺激策を続けているとの批判だった。
しかし、自身が大統領に当選すると、目の敵にしてきたイエレン議長への批判さえ鳴りを潜める。

トランプ大統領はジェローム・パウエル新議長をはじめ数名のFRBメンバーを指名し議会の判断を仰いだ。
ロゴフ教授は、その人選が珍しくノーマルなものだと認めている。
政府の他の機関では単に自分の友達というだけで見識も経験もない人物を登用してきた大統領が、FRB高官ポストだけではそれをやっていない。
金融政策に強く口出しする様子もなく、中央銀行の独立性は保たれているように見える。
このことは市場関係者に大きな安心感を与えている。

ロゴフ教授は、こうした状況がいつまでも続くとは考えていない。


「2020年大統領選の前に経済を刺激し、最終的には共和党減税が生む巨大な財政赤字をマネタイゼーションするようFRBに圧力をかけるのをトランプは躊躇するだろうか?
もしもトランプがそれを考えているとすれば、追い詰められたトランプが高インフレを求めないと言えるだろうか?」

今のところFRBの利上げは経済に十分に配慮して行われている。
足元は高インフレが問題となるような状況になく、FRBは利上げを急ぐ必要がない。
しかし、それでもロゴフ教授は「審判の瞬間」がやってくるかもしれないと心配する。

トランプが健康で、弾劾を逃れ、再選を目指すと仮定すると、2019-20年にトランプが最も望まないことは金利急騰、タイミングの悪い失業率上昇、トランプの美しい株式市場で起こりそうな株価崩壊だ。

ロゴフ教授によれば、中央銀行の独立性は反インフレ的な信認を確立する手段になりうるという。
トランプ大統領が2020年の選挙前に、自身が2016年選挙で批判したような構図を望むなら、FRBは大統領の圧力を受け、金融緩和を余儀なくされることになる。
ロゴフ教授はこの確率が高いと心配しているのだ。
減税が生み出す財政赤字と大統領選挙がFRBをハト派側に振る可能性が高い。

財政赤字は今年後半から本格化する。
選挙戦は2019年から本格化する。
一方、近日2019-20年頃から景気縮小期が始まるとの予想が多く聴かれるようになった。
大統領が何が何でも景気拡大を維持したいなら、そして可能なら、今年以降も新たな金融・財政政策を畳みかける可能性がある。
これは景気サイクル終期の株価上昇の確率を高めるのかもしれない。


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