加藤出氏:住宅ブームが変調を来している

東短リサーチの加藤出氏が、綻びの見え始めた海外の住宅バブルについて紹介している。
同氏によれば、明らかにバブルでない日本でも安心はできないという。


「世界的な長期金利上昇によって、住宅ブームは変調を来している。」

加藤氏が週刊ダイヤモンドで、直近の海外における住宅価格下落を紹介している。
世界的な大規模金融緩和は資産価格を上昇させ、それは住宅価格も例外ではなかった。
一部の国を除いて、リーマン危機後も住宅価格は大きく上昇している。

各国住宅価格の推移(1985年を100とした指数)
各国住宅価格の推移(1985年を100とした指数)

緩和的金融環境が生んだ住宅価格上昇だったから、金融環境が引き締めに転じれば当然下落圧力が加わる。
加藤氏は、住宅ブームが極端だったカナダ、スウェーデン、オーストラリアですでに価格下落が始まっていると紹介している。
ただし、現状程度の長期金利上昇なら過度な心配は無用かもしれない。
加藤氏は「秩序立ったブームの調整」との見方も紹介している。
つまり、ソフトランディングが可能かもしれないという示唆だ。


海外がきな臭い中で、日本の住宅価格は極端なまで上がらない。
もちろん局所的な上昇は否定できないが、全体で見れば安定しきっている。
加藤氏は、人口動態的要因から住宅の需要が減少を続けることを理由に挙げている。
バブルの心配はないが、喜んでもいられない状態なのだ。
加藤氏は2つの火種を例示している。

  • アパート・ローンの拡大: 賃貸住宅市場がだぶついている。
  • 老後にアパートを売りにくくなる: 将来不安が家計の消費に悪影響を及ぼしうる。

後者はともかく、前者は本質的な問題だろう。
最近シェアハウス運営企業が破綻し、シェアハウスに投資した投資家に大きな借金が残るというニュースがあった。
ある銀行の融資プロセスに疑念が持たれ、同銀行は大規模損失を計上すると伝えられている。
これなどは小さなサブ・セグメントでの極端な出来事にすぎないのだろうが、氷山の一角と心配させる点もある。
長く続く極端な金融緩和の中で金融機関が収益機会を模索し、劣悪な商機を掴んでしまったとの見方もできる。
金融緩和が原因と言えば言いすぎだが、遠因ではあるかもしれない。
そして、それと同様の事例が他に潜んでいる可能性も否定できない。

1990年代、日本の不動産バブルが崩壊していく中で、アパート・ローンが次々と不良化する局面があった。
特に問題が大きいのが、副業として賃貸アパートを経営しているケースだ。
景気後退期において、本業または賃貸業のいずれかに問題が起こると、資金繰りが悪化し共倒れに陥ってしまう。
住宅金融の恐ろしさとは決して住宅価格下落だけではない。
住宅価格が下落しても返済さえ継続されれば問題ではない。
しかし、しばしば問題は起こる。
その意味で、日本の住宅市場も手放しに安心はできないのかもしれない。


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