サマーズ:まだ趨勢的停滞から脱していない

ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が、好景気の中で趨勢的停滞論を主張している。
今後3年以内に不況が到来する可能性が高く、次の不況は過酷なものになりかねないと心配している。

「遅かれ早かれ米国は壁に突き当たる。
経済の常として、米経済史を振り返れば、経済が不況にない時に翌年に不況入りする確率は20%だ。
・・・これは、今後3年のうちに(好景気が)終わる確率の方が終わらない確率より高いことを示している。」


サマーズ氏がYahoo! Financeで不況の到来を心配している。
米経済は好況に沸いている。
金融緩和等によりすでに好況だったところに財政政策まで投下されたのだから経済が熱しても当然だ。
しかし、その中でもサマーズ氏は、自身が2013年に掘り起こして日の目を見させた趨勢的停滞論を主張し続けている。

「趨勢的停滞論とは経済が決して成長できないとするものではない。
経済成長に必要なのが、持続可能でない政策であるとするものだ。
現状の経済を見れば、そこそこ高い率で成長しているが、そうするために持続不可能な財政赤字、信用、資産価格を拡大させている。」


FRBの低金利政策・量的緩和政策はいつまでも維持できるものではない。
トランプ政権の財政政策も財源がともなわず、いつかは財政再建を迫られよう。
政権は高成長・低失業率を吹聴するが、その副作用として財政悪化・資産価格上昇・信用拡大も進んでいる。
この副作用をいつまでも放置すれば、金融安定が大きく損なわれるとサマーズ氏は心配する。

金融・財政政策で大盤振る舞いすれば、いつでも経済の「高血糖」を作り出せるとサマーズ氏は指摘する。
だから、本当の課題は単なる経済成長の実現ではないと言い切っている。

私たちの本当の課題は、持続した健全な成長を、持続可能な金融環境とともに実現することだ。
それがこの数年で容易または可能になるかはまだ何もわかっていない。

万国共通の課題であろう。
白川 前日銀総裁は退任時の記者会見で、非伝統的金融政策について「『出口』から円滑に脱出できて初めて、全プロセスを通じた金融政策の評価が可能となる」と話していた。
また、日本の財政問題にも出口が見えないのは言うまでもない。

出口が遠いだけに不況のリスクは大きくなる。
サマーズ氏は次の不況が極めて厳しいものになることを心配している。

「私たちは今、過去には有していたものを有していない。
それは、FRBの豊富な利下げ余地だ。
いつかによるが、繁栄を維持するのに通常必要な500ベーシス・ポイント程度の利下げ余地をFRBが確保できる可能性は極めて低い。」


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