ラグラム・ラジャン:17-18世紀に似ている

元インド中央銀行総裁 ラグラム・ラジャン教授が、トランプ大統領の関税導入の論理矛盾を冷静に解説している。
あわせて誤った対応を採る貿易相手国にチクリとやっている。


刺激策によって総需要が上昇し、ほぼ完全雇用に近い労働市場によって生産能力が制限されていることを前提とすれば、(総需要の増分は)外国の財に向かう。
それが貿易赤字を変化させ、その方向は政権が現在求めているのとは逆方向だ。

ラジャン教授はCNBCで、トランプ政権の言うこととやることが逆を向いていると指摘する。
トランプ政権は減税や財政支出によって、すでに好景気にある米経済をさらに吹かそうとしている。
一方で米国は完全雇用に近く、短期的には供給力は増えない。
だから、消費・投資の増分の大半は輸入によって満たされるしかない。
これが貿易赤字を悪化させる。

一方で、トランプ大統領は(表向きには安全保障を理由に)鉄鋼・アルミに関税を課そうとしている。
貿易不均衡を改善したいなら自国の経済政策を見直すべきなのに、責任を外国に押しつけている構図だ。
これが、世界中から非難を浴びる原因になる。


米国の貿易相手国は、ある者は米国を非難し、ある者は米国に擦り寄っている。
後者の行動について、ラジャン教授は1980年代ではなく17-18世紀に似ているという。
皇帝が勅令を出すと属国がお目こぼしを頼みに陳情にやって来る構図だ。

「各国は陳情団を送ってきている。
ある国はゴルファーを送ってきて、米政権に翻意を促している。」

耳が痛い話だ。
ラジャン教授は、こうしたやり方が国際システムを機能させるやり方ではないと批判する。
そして、現在の日本の政治スキャンダルを語るかのような原則論を述べている。

「国際システムとはルールに基づき、透明性を保ちつつ機能すべきであり、極めて属人的な交渉によってなされるべきではない。
米国へ向けられる批判はとても妥当なものだ。
(働きかけは)さらに悪い結果に結びつくやり方ではなく、よりよいやり方で行うべきだ。」

米国の双子の赤字はどう対処すればいいのか。
ラジャン教授は関税以外に集中すべき定石があると言う。

「米国は製造業のある分野では信じられないほど強い。
信じられないほど強いサービス分野がある。
しかし、古いレガシーの製造業はそれほどでもない。
課題は、米国におけるレガシー製造業の従業員をどうやってより活力のある分野に再配置するのかだと思う。」


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