ジェレミー・シーゲル教授によるウィズダムツリーのポッドキャストでの興味深い発言をいくつか紹介しよう: VIXと米国債だ。
VIXが28なのは(過去の)平均よりかなり高い。
これが私に教えてくれるのは、多くのヘッジが行われているということだ。
シーゲル教授が恐怖指数とも呼ばれるVIX指数の見方を解説している。
教授によると、VIXの長期的な水準は10、11、12あたりだといい、20を超えると長期的に回帰すると見るのだという。
教授は現状の28を悲観的に捉えておらず、むしろ前向きに受け取っているという。
大きなVIXはたくさんの人が恐怖し自身のポジションを守ろうとしてプット・オプションを買いたがっていることを反映するものだ。
足元はVIXが跳ね上がり株価が急落しているわけではない。
高値圏で投資家がリスクを認識してヘッジをしているのだから、むしろ健全と言いたいのだろう。
VIXとはS&P 500指数のオプションのインプライド・ボラティリティだ。
オプションの買い手が増えればオプション・プレミアムが上昇し、インプライド・ボラティリティも上昇する。
本来ボラティリティには上昇・低下の別はない。
しかし、実際には株価下落とボラティリティ上昇が共存するケースが圧倒的に多い。
だから、低いVIXの方が投資家は安心であることが多い。
シーゲル教授の見方は少し違う。
心配すべきなのはVIXが10、9となって・・・市場が完全に自己満足に陥った時だ。
・・・その時こそ何かおかしなことが起こるんだ。
米国債と債券ファンド
シーゲル教授は債券ファンドの今後について尋ねられている。
答の中で、ヘッジ手段としての米国債について語っている。
「今回のような危機、金融危機では米国債は投資家を守ってくれる。
しかし、それはとても高くつくヘッジになる。」
米国債についてデフォルト・リスクを心配する必要はなかろうから、心配事は金利上昇にともなう価格下落のリスクとなる。
教授はインフレ、長期金利上昇を予想している。
米国債といえども、これらの脅威からは逃れられない。
シーゲル教授は今後3-5年で債券ファンド離れが進み、株式ファンドへマネーが移動すると予想する。
私はこれが1年限りの現象ではないと考えている。
債券利回りの趨勢的なトレンドが始まり、それが趨勢的な(債券の)弱気相場の始まりになると考えている。