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V字回復を阻害する人為的要因:ジェフリー・サックス
2020年6月24日

コロンビア大学のジェフリー・サックス教授が、コロナ・ショックからの経済回復について悲観的な予想を述べ、その大きな理由を語っている。


私たちは間違いなく深い危機の中にある。
それは世界の地域によって大きく程度が異なっている。

サックス教授がロシア国営RTで、コロナウィルスの被害が世界の地域によって差が出ていると指摘している。

  • アジア太平洋: エピデミックが制御されている。
  • 西欧と米国: エピデミックを制御できていない。米国は多数の死者を出し、社会不安と経済被害に発展した。
  • 中南米: ブラジルやメキシコは悲惨な結果。

サックス教授は、ロシアなど他の地域の国々がよその事例を正しく学ぶことができるかが重要になると指摘する。
アジア太平洋での成功を学べるかだ。
教授はコロナウィルスを制御するために必要なことを挙げる:
「強力な公衆衛生手段」、「強力な公衆の協力」、「ウィルス拡散を止めることにとても明確な優先順位を置く優れた指導力」だ。
教授は、米国についていずれかが欠けていたといいたいのだ。

サックス教授は、感染防止と経済回復のトレードオフについて言及している。
教授の結論は明快だ。
感染防止がなければ経済回復はないというもの。
そして、そのためには「公衆衛生手段」が不可欠だという。
(ワクチンは安全性の確認が必要で、使用可能になるまで時間がかかり、第2波・第3波には間に合わないと思われるためだ。)

米国がこの道を進むことを祈っているが、不幸なことに私はかなり悲観的だ。

サックス教授が「公衆衛生手段」と呼ぶものは具体的には何なのか。
マスクの着用、兆候があればすぐに検査、感染経路の調査が挙がっている。
教授自身が「エピデミック対応の標準的手続き」と呼ぶように、こうした当たり前の内容が挙がる背景には、それを軽視する政権の存在があるのだろう。

サックス教授は、経済についてV字回復は望めないと予想する。
人々の行動は長い間、危機前には戻らないと考えられるからだ。
むしろ、危機は長く続くだろうと、悲観的な予想を語っている。

さらに、ウィルス封じ込め・世界経済の回復を阻害する要因がもう1つある。
これら実現には国際協力が必要になるのに、米国がそれに逆行している点だ。
サックス教授の言葉は、米国の「とても劣った政権」が、国内外で多くの問題を生み出していると辛辣を極めた。

エピデミック封じ込めがうまくいっていないところを見ると、他地域との協力にも後ろ向きな強いポピュリズム、ナショナリズムなどが台頭したところになっている傾向がある。
米国、ブラジル、または、すでに政権がナショナリズムに陥り多国間協力に反対している国では、自国民を安全に守ることすらできていない。

ポピュリズムやナショナリズムが、コロナ問題からの回復に悪影響を及ぼしている。
サックス教授は厳しい現実を認めている。
国際協力はコロナ前から実現していなかった。
しかも、米国が率先して国際協力に背を向けていたのだ。
しかし、最近の米国の状況を見る限り《再び米国を安全な国に》は実現していない。

サックス教授は、トランプ政権が協力より分断を望んでいると指摘し、パリ気候協定からの離脱、イラン核合意からの離脱、WHO脱退、中国との冷戦がその表れと話した。

トランプの戦略そのものが分断なんだ。
これは、現在の世界の大問題のいずれの解決にも必要とされる戦略ではない。


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