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SNSが引き起こした歴史的変化:ロバート・シラー

ロバート・シラー教授が、トランプ大統領のイメージ戦略とそれに果たしたメディアやSNSの役割について解説している。


「トランプは自分の著書『How to Get Rich.』で説明している。・・・
何か自分を特徴づける物語や名声を作り上げなければならない、と。
それが、トランプでそうだったように、人生を通した最大の関心事になりうる。」

シラー教授がBloombergで、トランプ大統領の思考回路を解説した。
豪華な生活を見せびらかし、美女を侍らせる。
これが大統領のナラティブを作り上げてきたという。

「人生を通して彼の物語を追求したことがペイしたようだ。
トランプはそれを誰よりも理解しているようだ。」

いくら税金を納めているかも開示できない不動産屋 兼 テレビ出演者が大統領に上り詰めた一因は、自らに焼き付けたナラティブだったのだ。
シラー教授は、このナラティブが経済に良い影響を及ぼすこともあると認めている。

「人々は毎日これを目にし、毎日彼の成功の話を聞く。
それが人々を元気にするなら、私はもっとそれを好きにならなければいけないのかもしれない。」

この日シラー教授はひどい風邪を引いていたらしく、皮肉にあまり切れがなかった。
とはいえ教授は従前から、トランプ大統領の見せびらかしナラティブが消費を刺激し、経済を押し上げていると指摘している。

シラー教授は、こうした効果にメディアが一役買っているとしてフランクリン・ルーズベルトの広報戦略を紹介した。

「ルーズベルト大統領は大恐慌を完全には解決しなかったが、『炉辺談話(Fireside Chats)』を始めてから改善し始めたんだ。」

「炉辺談話」は1933年から始まったルーズベルト大統領による定期ラジオ放送。
大統領が大恐慌からの回復策をはじめとする広範な政策について演説を行った。
これが、人々の心理に作用し、経済に良い影響を及ぼしたとシラー教授は滲ませている。

今、トランプ大統領が、その手法を今度は私的に用いようとしている。

「『強い経済』という考えに対する注目が高まっている。・・・
トランプはなんとかして彼のイメージをこのナラティブにくっつけようとしている。
彼は『米国を再び偉大な国に』というスローガンを掲げた。
ロナルド・レーガンの同じスローガンから拝借したものだ。
トランプは過去成功したものを探し、それを復活させるんだ。」

国民の意識の中で強い経済と自身を結び付け、選挙を有利に戦おうとしている。
シラー教授は、過去数年「強い経済」という言葉を用いた記事の60%が同時にトランプ大統領に言及しているという事実を紹介した。
大統領のイメージ戦略は着々と成果を上げ、そこでもやはり、意図したかどうかは別として、メディアが一役買っているようだ。

シラー教授は、さらにSNSの影響力にも言及する。

このツイッター戦略を他の国の指導者たちが採用しないのは驚きだ。
・・・これは歴史的変化だと思う。
大統領がそうすることを許されれば、はるかに親近感を増幅することができる。

シラー教授は、歴代の大統領が「炉辺談話」以降、メディアを通した広報を重用してきたと指摘する。
その目的はメッセージをいきわたらせ、同時にイメージを強めることにあった。
そこにツイッターというソーシャル・メディアが現れた。

トランプは今それをやった。
永遠に続く常道にになるのかもしれない。

シラー教授は最近、マーケティングを卑しい学問分野とけなしつつ、共同の可能性に言及している。
今回の発言も、そうした興味に沿ったものだったろう。

政治家や政府が正しいことをスクウェアに伝えることは重要だ。
しかし、脚色も程度が過ぎれば社会悪でしかなくなる。
飾らない政治家を望む国民も少なくないはずだが、現実とは冷酷なものだ。


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