SF連銀:イールド・カーブ平坦化は謎ではない

サンフランシスコ連銀が最近の米イールド・カーブ平坦化の要因を分析している。
理由のあることとしながらも、油断すべきではないと釘を刺している。

「FRBが2016年12月以降短期金利を3回引き上げ保有資産を減らし始めたにもかかわらず、米国債利回りは逆に低下した。
この短期と長期の金利の相反は、2004-05年の『グリーンスパンの謎』を彷彿とさせる。
しかし今回は、イールド・カーブ平坦化には説得力のある説明が存在する。
低い『正常』金利、低インフレが居座るリスク、財政や地政学的な不透明性だ。」


SF連銀のMichael D. Bauer氏が米イールド・カーブのフラット化について分析している。
2005年、グリーンスパンFRB議長(当時)は、利上げしても長期金利が上昇しない現象を議会で「謎」と話している。
しかし、バウアー氏によれば、今回については謎ではないらしい。
バウアー氏の論点を復習しておこう。


  • r*
    市場参加者が考える実質均衡金利r*の水準が低下した。
    FRBのバランスシート縮小でもほとんど上昇することなく、感じられるr*の低下は長期金利低下に結びついている。
  • インフレ
    投資家がインフレ下振れのリスクを懸念しており、長期金利押し上げ要因となりうるインフレ・リスク・プレミアムを押し下げている。
  • 財政・地政学
    国内政治や地政学的な不確実性が米国債利回りを押し下げる大きな要因となっている。

長期金利が上昇しないことは、資産市場には朗報だ。
しかし、行き過ぎてイールド・カーブが逆ざや化するようなら、景気後退や市場下落のサインとなってしまう。
バウアー氏は、現状を喜んではいられないと釘を刺している。

「インフレ期待や感じられるr*の変化は通常緩やかに起こる。
しかし、いつになく小さい期間プレミアムが突然上昇するリスクもある。
・・・
株式ほかの市場の高値が低金利によるものとすれば、このリスクを心配する見方もあるだろう。」

バウアー氏の解説は経済理論に則ったものだ。
これが、市場関係者の視点となるとだいぶ変わってくる。
市場関係者の言い方で言うと

《米国株がいいパフォーマンスで史上最高値を試し続けているから、そろそろ利食って米国債に移しておこう。》

ということになる。
ずいぶんと異なる趣に驚かされる。


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