ダン・ファス:貿易摩擦からスタグフレーションへ

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Loomis SaylesのDan Fuss副会長は、貿易摩擦がインフレ・低成長をもたらすリスクを警戒している。
こうしたリスクに対し、中央銀行は受け身の対応しかできないという。


経済成長と2%インフレの完全な世界では、FRBはオーバーシュートし、FF金利は3.25%、もしかしたら3.5%まで行き、3.0%まで戻ることになるだろう。
もしもそうなる場合、いったん3%に落ち着いたら、10年債は4%をわずかに超え、長期債は4.5%になるだろう。

ファス氏はInvestmentNewsで今回の利上げサイクルの行き先を予想した。
現在のFF金利誘導目標は1.50-1.75%。
ファス氏は年内あと2-3回(今年合計3-4回)の利上げを見込んでおり、年末2.0-2.5%ということになる。
同氏予想の最終地点は3.25-3.50%とされているからさらに1年ほどの利上げが予想されていることになる。
これは2019年中の好景気予想を示唆している。

「来年は経済成長が2.8%までいくかもしれない。
それより低い可能性もある。
それより高い可能性はあまり高くない。」

2019年までは好況が続くとするが、これとは別のところで攪乱要因が生じうるとファス氏は懸念している。
そして、この要因に関してFRBはたいした力を持っていないと指摘する。

「関税や貿易障壁によって何か問題が起こればすぐFRBの脅威となる。
これは国際的な政策であり、FRBはここに構造的な盲点を抱えている。」


ファス氏は、FRBが金利上昇を止めようとしない限り金利は上昇するという。
米経済の先行きには低成長と高インフレを示唆する材料が見受けられるとするが、それにFRBがどう対処するかはまだわからない。
FRBはインフレを退治しようとするか、成長を優先するか。
これまでのところ、世間もFRBもインフレを問題視していない。

私がFRBなら、関税が導入されればインフレ見通しを上昇修正し、経済見通しを下方修正する。
古くから言われている言い方をすれば、スタグフレーションだ。
経済を鈍化させインフレを上昇させる、すべての世界にとって最悪のことだ。

債券市場の大ベテランは、かつてのスタグフレーションの記憶から地政学的リスクを重く見ているようだ。
それが経済に何を及ぼし、インフレや金利にどう影響し、それに対してFRBが何をするか。
これが今後数年の市場・経済を決めると示唆している。

「中国は大きな人の塊で、ついに専制的に統一され、米国に象徴される西欧支配と衝突する可能性が極めて高い。
アテネ対スパルタのようなトゥキディデスの罠につながる可能性がある。
どう解決するかは、現在の武器の性質がすさまじいことを考えれば、過去の例よりも重大だ。」

ファス氏は自社の債券ファンドの戦略についても話している。
ファンドの35%を現預金にし、ファンドの平均マチュリティ―を長年の水準の半分以下に短期化し、5.5年まで引き下げたという。
現預金の中身は銀行預金・国庫短期証券・もう少し長い国債。
遊ばせているわけではなく、むしろ、高いパフォーマンスを上げているという。
一方、ローンやハイイールドなどの分野で信用リスクへの警戒を高めていると話した。


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