ロバート・シラー:金利でも企業収益でもない

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資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が、市場のナラティブを探っている。
何が市場を動かしているのか、教授は市場参加者の錯覚を気づかせてくれる。


歴史的に何が調整の引き金を引くかあまりはっきりしない。
典型的には、調整したというニュース以外に、さして大きなニュースはないものなんだ。

資産価格の歴史家シラー教授がCNBCで市場下落の本質に迫る発言をしている。

いつ市場が下落に転じるかは万人の興味だろう。
しかし、持続的なマーケット・タイミングが不可能というのも万人のコンセンサスだ。
それほど市場は投資家の不意を突く。
大きなニュースもないのに急落する。
急落時の大ニュースと言えば、急落のニュースだけなのだ。

シラー教授は、FRBの金融政策はもはや大きなニュースではないという。
利上げは2015年、量的引き締めは2017年にスタートしており、FRBは慎重かつ思慮深く計画・公表・実施しているからだ。
実際、米独立企業連盟(NFIB:National Federation of Independent Business)による中小企業楽観指数調査では、楽観的な中小企業がその理由として低金利を挙げていないのだという。
シラー教授は、低金利や金融政策に過度に目をとられてはいけないと説く。


FRBを仕切っているジェローム・パウエルは分別ある慎重な人物だ。
FRBはボラティリティの源泉にはならないだろう。

それでも、シラー教授は市場にリスクが残っていると話す。
自身の株式市場信頼感指数CAPEレシオが、2000年に次いで調査史上2番目の割高感を示しているからだ。
この割高感がもたらすリスクは堅調と言われる企業収益でも払拭できないという。

「第4四半期でみると、実質ベースのS&P 500の利益は依然としてインフレ調整後で2015年を下回っている。
・・・企業収益は毎年変化しうるので、あまり過度に注目すべきでない。」

シラー教授は近年の株式ボラティリティの推移についても言及している。
「安定性」が疑問視されたトランプ政権の下でもボラティリティは1年ほど低位で推移した。
政権が不安定であることは市場に動揺を与えるはずなのに、1年間もボラティリティは低いままで、市場への信頼感も高まっていた。
そして1月下旬、市場の調整とともにボラティリティが上昇した。

「株式のボラティリティがなぜああも低かったのは大きな謎だ。
今は皆が考えるような水準に戻った。
トランプ政権の下でさらに上がるかもしれない。」


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