榊原英資教授:ドル円は100円へ

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ミスター円こと青山学院大学 榊原英資教授が今ではやや少数派となった円高予想をしている。
リスク・オフと米政策により100円程度までの円高が進むという。


円は1ドル=100円を目指す展開になるだろう。

榊原教授が日本経済新聞に話した。
教授は1月にもドル円が年末に100円を目指すと予想しており、今回もそれを継続した形だ。
ドル安円高の要因を大きく2つ挙げている。

  • リスク・オフの円買い: 世界的な政治の混乱が続く
  • 米国のドル安誘導: 輸出促進・雇用創出のため

榊原教授にとって金利差などは現在の大きな絵の中では枝葉末節にすぎないようだ。
ドルと円の両側の要因で円高ドル安が進みやすいと指摘したが、ドル円が100円を大きく割り込むとは見ていないという。

米金融政策については、榊原教授は今年のFRB利上げを3回と予想している。
ECBも金融政策正常化を模索する中、教授は、日銀も「そろそろ緩和からの出口を考え始めているのではないか」と推測する。
日銀にとって正常化の最大のハードルである為替についても、それほど大きな壁ではないという。

「円相場が1ドル=100円を少し超えるくらいならさほど問題ではないと、黒田総裁は考えているフシもある。」

2%物価目標が相当な長期間達成できないというのはすでに市場のコンセンサスだろう。
量的緩和自体にインフレを高める効果がないことは、理論・現実の両面で証明されている。
(理論: バーナンキのジョーク、現実: 日銀「総括的な検証」
残るのは将来のインフレに対する市場の期待がどこまでインフレをアンカーしてくれるかだ。
この要素があるために日銀は今も出口について語れないでいる。


異次元緩和の出口と深く関係するのが次の日銀総裁人事だ。
榊原教授は昨年9月と同様の予想を繰り返している。
前例どおり、重任した黒田総裁は任期途中(「2-3年」)で退任し、たすきがけ人事で次は雨宮副総裁が就くというものだ。

「黒田氏が任期満了まで務めると、次期総裁を選ぶときに政治の介入余地が広がる。
世間で人事が話題になる以前、任期途中の交代のほうがスムーズにいくのではないか」」

インサイダーらしい通かつ本質的でない読みだ。
開けっ広げな言い方だけに不思議な説得力がある。

仮に総裁交代が2-3年後にあるとすれば、そこで金融政策に節目が訪れる可能性は低くない。
ならば、3年後の正常化という読みでよいのかもしれない。
このところの債券市場もすっかり金利上昇観測が鳴りを潜めている。
ここで投資家は2つのシナリオを考えなければいけない。

3年後正常化を予想する場合、正常化はさらに遅くなる可能性が高い
景気があと3年もつと考えるのはむしろ楽観的すぎる。
ならば、正常化への条件が整った3年後は、むしろ追加緩和が求められる環境にあるかもしれない。
つまり、異次元緩和はまだ相当長く続く。

安倍政権が続かない、あるいはレームダック化する可能性は否定できない
そうなれば、日銀に強力な金融緩和を続けさせようという圧力は減るかもしれない。
こう市場が推測した瞬間、日銀が死守しようとしてきた市場のインフレ期待は消滅する可能性が高い。
この場合、金利・円が急上昇し市場にとってサプライズとなるだろう。
これは特に金融市場にとっては厳しい話かもしれない。
この場合も、次の金融政策変更は追加緩和方向となる。


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