マーティン・フェルドシュタイン:トランプ関税の本当のワケ

民主党・共和党両政権で要職を務めたMartin Feldsteinハーバード大学教授が、トランプ政権による鉄鋼・アルミ関税の狙いを代弁している。
筋違いで古臭いやり方には実は深謀遠慮が込められているのだという。


この関税はダンピングや輸入急増ではなく安全保障にかかわる米通商条項の下に課されるため、軍事同盟関係にあるNATO、日本、韓国は除外される可能性がある。
中国への関税に集中でき、広範な貿易戦争のリスクを回避できる。

フェルドシュタイン教授はProject Syndicateでトランプ政権の巧妙な計算を代弁している。
トランプ大統領が相手国を限定しない鉄鋼・アルミ関税導入をツイートした時、その《稚拙さ》に世界は怒り驚いた。
なぜ関税なのか。
なぜ安全保障なのか。
どこから見ても筋違いな政策をなぜ政権は強行したのか。

一見《稚拙》に見えるトランプ関税も実は深い戦略に基づいて繰り出されているというのが教授の見立てである。
(もっとも教授は、大統領が同時にこれを政治利用している点も認めている。)
教授は敵の本丸を暴露する。


「米国にとって中国で最も重要な通商課題は、中国の補助を受けた鉄鋼・アルミ輸出ではなく、技術移転に関わることだ。
・・・数年前まで中国政府は人民解放軍の精鋭サイバー部隊を使って米企業に侵入し技術を盗んできた。」

事態はさらに悲惨だ。
フェルドシュタイン教授によれば、米企業は中国市場へのアクセスと引き換えに技術移転の要求に「自発的に」応じてしまうのだという。
中国は技術移転を受けた後も市場開放を遅らせ、国内勢がキャッチアップする時間を稼いでいると書いている。
こうした中国のやり方に対処するにはWTOなど伝統的手段では難しく、また、米国がほしい中国の技術もさしてないことから互恵関係も成立しにくい。
これこそが関税という一見筋違いのやり方を選ばせた背景なのだと解説している。

「私の見方では、米交渉担当者は中国製造業に関税を課すと脅すことで、中国政府が『自発的』技術移転政策をあきらめるよう求めることになる。
それが実現すれば、そして米企業がそうした重大な競争力の対価を支払うことなく中国で事業ができるようになれば、関税は通商政策の極めて有用なツールとなるだろう。」


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