ゴールドマン・サックスが、米投資家にヘッジ戦略を推奨している。
ヘッジ・コストに配慮した跡が見え、興味深い提案になっている。
リスク削減へのシフトとボラティリティ上昇予想が2018年のトレードの力学を変え、ヘッジに用いられるタイム・バリューを上昇させる可能性がある。
VIX急騰とボラティリティの発現が大きかったために、株式市場以外の投資家もそれに気づいたのだ。
ゴールドマンのJohn Marshall氏らは今後、投資家のヘッジ需要が高まると予想しているとBloombergが伝えている。
S&P 500の下落リスクをヘッジするために用いられるオプション等がこの3週間大量に期限を迎えたのだという。
投資家はまだ買い直しておらず、リスクに敏感になっている中、これから買い直す必要に迫られると予想される。
一方で、1月末からの市場の混乱でボラティリティは上昇した。
これはオプション等のタイム・バリューを上昇させ、ヘッジ・コストを増大させてしまう。
そこで、ゴールドマンは現在の金融市場の7大リスクを挙げ、それぞれについてコストを節約しつつヘッジする方法を例示している。
その方法が(コストを低減するため)なんとも凝った変化球になっており面白い。
リスク | ヘッジに使える主なデリバティブの原証券 |
信用 | Utilities Select Sector SPDR Fund(公共サービス産業のETF), Consumer Staples Select Sector SPDR Fund(生活必需品産業のETF) |
金利・インフレ | VanEck Vectors Gold Miners ETF(金鉱産業のETF), iShares 20+ Year Treasury Bond ETF(超長期国債のETF)のデリバティブ |
米市場 | Euro Stoxx 50(欧州株指数), WisdomTree Japan Hedged Equity Fund(為替ヘッジ付き日本株ETF) |
原油 | U.S. Oil Fund LP(原油ETF), Energy Select Sector SPDR Fund(エネルギー産業のETF) |
米景気 | Euro Stoxx 50(欧州株指数), Energy Select Sector SPDR Fund(エネルギー産業のETF) |
中国 | Euro Stoxx 50(欧州株指数), iShares MSCI Taiwan ETF(台湾株ETF), Hang Seng China Enterprises Index(中国H株指数) |
欧州 | Euro Stoxx 50(欧州株指数), iShares MSCI EAFE ETF(欧州・オーストララシア・極東株のETF) |
ヘッジ・コストのかさむ米国株ETFのオプションなどを使わないなど工夫されている。
あるものはヘッジしたいリスクに直結する原証券、あるものは変化球となっている。
一般の投資家がデリバティブを用いてポートフォリオのリスクをヘッジすることは少ないだろう。
むしろ、特定のリスクにおいて、自分のオートフォリオの中身が(変化球の分も含めて)集中していないか見直すのに役立つかもしれない。