ボスティック総裁:次は量的緩和に頼りたくない

アトランタ地区連銀のRaphael Bostic総裁が、物価目標を引き上げるべきとの意見について、そのロジックを解説している。
現状のFRB金融政策からすればピンとこない主張だが、次の景気後退期まで考えるとその意味が見えてくる。


最近のFOMC見通しによれば、中立的なFF金利は2.3-3.0%のレンジと見られる。
歴史的に見れば、2%物価目標がコンセンサスとなった1990年代後半、中立的なFF金利はおおよそ4.0-5.0%のレンジにペッグされていた。
現在中立と考えられているより2%ポイントも高いのだ。

ボスティック総裁がアトランタ連銀のブログで中立金利の低下について紹介している。
この問題意識は今始まったものではない。
サンフランシスコ連銀John C. Williams総裁も以前から問題を指摘し、物価目標引上げを主張していた。
しかし、FRBはイエレン前議長の下、2%物価目標達成前に金融政策正常化を進めた。
金融緩和を継続・強化すべきとの意見は日の目を見ることなく、逆が進んだのだ。


低い中立金利が助長するロジック

中立金利が低下するとなぜ金融緩和なのか。
それを少し解説しておこう。
ボスティック総裁は3つの前提を提起している。

低い中立金利は景気後退期に問題
金融緩和は(短期で言えば)中立的なFF金利と実際のFF金利の差が大きいほど効く。
実際のFF金利はゼロまでしか下がらない。
低い中立金利はこの差の限界を小さくしてしまう。

景気後退に対する最良の策は利下げ
ボスティック総裁は、リーマン危機後の非伝統的金融政策は有効だったとしながら、実績・評価はまだ定まっていないと言う。

他のすべての条件が同じで、もしも可能ならば金融政策は短期政策金利を上下する実績のある手法によって行われることが極めて望ましいという意見に賛成だ。

中央銀行は、長期的には実質金利をコントロールできない
この命題についてボスティック総裁は詳しく説明していないが、ウォレスの中立性のような考えを示したものだろう。
ただし、総裁はあくまで「長期的には」と限定的に認めている。

(次ページ: 物価目標引上げのロジック)


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