日本銀行
 

【輪郭】長期金利ターゲット「ゼロ%」の根拠

執筆:

長期金利ターゲットがゼロ%なワケ

均衡イールドカーブを用いた方法では年限ごとの自然利子率が推計されており、ここに長期金利ターゲットの水準のカギがある。


%e5%9d%87%e8%a1%a1%e3%82%a4%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%83%89%e3%82%ab%e3%83%bc%e3%83%96%e3%81%ae%e6%8e%a8%e8%a8%88%e3%81%ab%e3%82%88%e3%82%8b%e8%87%aa%e7%84%b6%e5%88%a9%e5%ad%90%e7%8e%87%ef%bc%88%e6%97%a5

10年のグラフを読むと、直近で10年ものの均衡金利は▲0.25%程度であることが読み取れる。
一方、近時の10年ものブレーク・イーブン・インフレ率は0.4%程度である。
すると、名目ベースの均衡金利は+0.1-0.2%程度にあることになる。

一方、長期金利ターゲットは概ねゼロ%(名目ベース)。
わずかに景気刺激的ということがわかる。
これこそ「ゼロ%」の根拠なのだろう。

追加緩和ばかりが道じゃない

こうしたフレームワークをレビューした上で、私たちは何を目指すべきだろうか。
能もなく追加緩和(付利・長期金利ターゲットの引き下げ)を求めるべきではなかろう。
やはり、能もなく、成長戦略により潜在成長率を改善し、自然利子率を引き上げるべきなのだ。


あるいは、期待インフレ率を高める方策もあるかもしれない。
期待インフレ率を高めれば、名目ベースの均衡金利は高まり、現状の誘導目標のままでも緩和効果は高まっていく。
しかし、期待インフレを高めることがいかに難しいかは、近年のリフレ政策の失敗が物語っている。


最後に残された暴論は、だらだらと十数年にわたって例えば1%ずつ消費税率を引き上げていくというような方法だろうか。
超長期にわたる消費増税は確実に期待インフレ率を高めるはずだ。
結果、利下げをしなくても緩和効果が高まると期待できる。
残る問題は、金利という軸の有効性だ。
既に未踏の領域に入った日本の実質金利には、さらなる引き下げによって経済を刺激する力が残されているのだろうか。


山田泰史山田 泰史
横浜銀行、クレディスイスファーストボストン、みずほ証券、投資ファンド、電機メーカーを経て浜町SCI調査部所属
東京大学理学部化学科卒、同大学院理学系研究科化学専攻修了 理学修士、ミシガン大学ビジネス・スクール修士課程修了 MBA、公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員


本コラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。本コラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。本コラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。本コラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。本コラムはコラムニストの見解・分析であって、浜町SCIの見解・分析ではありません。

ページ: (1) (2)

 - Exclusive, 国内経済