ジム・ロジャーズ:貿易戦争の本番はこれから

ジム・ロジャーズ氏が、ドナルド・トランプ大統領の対中貿易戦争について先読みした。
米経済悪化の時が、貿易戦争エスカレートの時だという。


来年・再来年、米経済が悪くなった時、トランプは再び本当の貿易戦争を起こそうとするだろう。
彼は米国の問題を貿易戦争で解決できると考えているんだ。

ロジャーズ氏がNikkei Asian Reviewに語った。
トランプ大統領は1日の米中首脳会議後、来年初から予定していた対中関税の税率引き上げを延期した。
当初は現行10%の税率を来年から25%に引き上げるとしていたが、90日間の交渉期間を設け、その間引き上げを延期するとした。

ロジャーズ氏によれば、米中貿易戦争の本格化を招くのは交渉期限切れではないという。
トランプ大統領が中国への攻撃を強める引き金は、米経済の悪化だという。
ロジャーズ氏は今後、企業や家計の心理が冷え込み、投資・消費が低調になっていくと予想する。

「経済を心配して、みんな、車だろうが冷蔵庫だろうが何だろうが、それほど買わなくなるだろう。
みんな、工場を建てるのをやめるだろう。
みんな、投資をやめるだろう。」


経済に陰りが出れば、これまで経済や市場の活況を自身の手柄と吹聴してきた大統領は追い込まれる。
そうなったところで、仮想敵国への攻撃を強めることになるとロジャーズ氏は読む。

「トランプの頭の中では、貿易戦争に勝つことができて、貿易戦争が彼の利益になると考えているんだ。
・・・貿易戦争に勝者はいない。
トランプは歴史を知らないか、歴史を理解していないのだろう。」

ロジャーズ氏は、1930年代の先例に言及する。
米国は大恐慌に苦しむ1930年、国内産業の保護のためスムート・ホーリー法による保護貿易政策を実施した。
米国の関税は諸外国の報復関税を誘発し、これが世界恐慌を悪化させたと言われている。
ロジャーズ氏は

「1930年代、米国は貿易戦争を始め、それが経済の崩壊につながり、戦争の火ぶたを切った。」

と解説している。
果たして、大統領は「理解していないのだろう」か。
それとも「利益になると考えている」だけなのだろうか。
名門ウォートン校出身者は、理解できないほど愚かなのだろうか。
ここには2つの解釈がある。

いずれの場合にも救いが感じられないところが恐ろしい。


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