レイ・ダリオ:劇的ではなくスクイーズになる

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、次の危機はリーマン危機とは違ったものになると予想している。
債務の所在が政府に映っており、劇的なものではなくスクイーズというべきものになるという。


「ただYesとだけ言えば受けるんだろうね。」

Business Insiderのヘンリー・ブロジェット氏から、債務サイクル論の帰結は悲惨な金融危機と世界大戦なのかと尋ねられ、ダリオ氏はおどけてみせた。
同氏の債務サイクル論では、現在が1930年代後半に似ていると指摘されている。
長期・短期の債務サイクルが終盤に差し掛かり、政府・中央銀行に残された政策手段が枯渇している。
その中で国内外の格差や対立がエスカレートし、世界中でポピュリズムが台頭している。
1930年代終わりの場合、こうした社会の変化は悲惨な世界大戦へと発展してしまった。
ダリオ氏は従前からこの点を警告してきた。

「2008年とは様子が違う。
2007年には経済主体の財務諸表を見れば借金が返済できないことがわかり、大きな債務危機に向かって行った。
今は違う。」

ダリオ氏は、リーマン危機のような劇的な危機が訪れるとは考えていない。
かと言って、危機的状況が訪れないとも言わない。
ダリオ氏は次の災難を「スクイーズ」と表現している。

私は、このダイナミクスの本質はよりスクイーズの要素が大きいと考えている。
・・・債務がある程度あるため、大きなスクイーズになるように思える。


ダリオ氏が「スクイーズ」という言葉で具体的に何を意図したかを正確に読み取るのは難しい。
しかし、信用のスクイーズと言えば通常、経済主体が銀行等から借金をするのが難しくなる状態を言う。
典型的には不況や金利上昇の際に見られ、クレジット・クランチよりは緩やかな印象を持った言葉だ。
米経済の債務過多が、債務スクイーズを引き起こすのだという。

「また、年金の負担・医療の負担など、私たちのニーズに比べて多くの負担がある。
私たちは大金を借りている。
政府が大金を借り、企業も大金を借りている。」

ただし、リーマン危機の頃とは債務者の構成に変化がある。
特に政府の債務が膨れている。
公共セクターは、国家が終わるなら別だが、そうでない限り、かなりしぶとい債務者になる。

「だから、金融危機の2008年のような劇的ではない状況になると考えている。
今回はもっとゆっくりと進行するスクイーズ等が起こると推測している。」

ブリッジウォーターでダリオ氏らと共同CIOを務めるボブ・プリンス氏は、だらだらと続く下降のリスクが大きくなっていると指摘している。
この部分だけ聞くと、日本人がこの30年間経験してきたことと似た響きがなくもない。

では、この変化はいつから顕在化するのか。

おそらく次の(大統領)選挙の前に経済が軟化することになるのではないか。
あたるかどうかはわからない。
それがおそらく(選挙を)決め、影響するのだろう。

ダリオ氏は先日、2019年から米経済成長の鈍化が始まると予想している。
今回はさらに、世界中で同じ力学が働き、同様のスクイーズが起こるとも話している。


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