ローレンス・サマーズ:中立金利は重要でない

経済観の類似と相違

サマーズ氏とダリオ氏が、エコノミスト/政治家、投資家/慈善活動家という異なる立場に立ちつつ共鳴し合っているのは明らかだ。


実は、2人の考えは、経済学の根っこの部分から共通するところがあった。
QEで資産価格が上昇し、一方で債券の強気相場が終わったかもしれないとの考えが浸透する過程で、FRBの用いるニューケインジアン的な経済モデルに対して疑問を呈する人が多くなった。
2016年まだ米長期金利が下げ止まらないうちから、サマーズ氏は、FRBの用いる経済モデルが十分でなく、特に市場要因を軽視していると示唆した。
一方、ダリオ氏は、先立つ2014年ごろから長期・短期の債務サイクルの重要性を主張し始めた。
金融市場の循環を重視するスタンスは市場関係者、たとえばビル・グロス氏らに支持されている。

サマーズ氏とダリオ氏の考えに違いがあるとすれば、経済のファンダメンタルズに対するスタンスだろう。
サマーズ氏は、いまだに趨勢的停滞が継続していると考えている。
ダリオ氏は、淡々と景気サイクル特有の《過剰》の発生を危惧している。
こうした見方の違いこそあれ、結論は同じだ。
景気後退入りしてしまえば難しい状況に陥るので、極力避けねばならないという。


バブルへの対処法

サマーズ氏は昨年、ある自問を人々に問いかけたことがある。

市場がバブル水準だと政策決定者が確信したなら、何が正しい対処だろう?
バブルを崩壊させるべきなのか?

現在がバブルであるかどうか確たるコンセンサスがあるわけでないが、経済・市場に《過剰》が発生していることは多くの人が感じている。
こうした時、私たちは泡がさらに膨らむ前に潰すべきなのか、それとも膨張を許容すべきなのか。
過去の米経済を見る限り、ゆるやかで持続的な膨張が半永久的に続いたことはない。
どの景気サイクルも、いずれは後退期に入ってきた。
では、政府・中央銀行は、いずれの道を選ぶべきなのだろう。

  • 後退入りを少しでも遅らせるために、ぎりぎりまで金融引き締めを抑え気味にする。
  • 将来の後退期の痛みを軽くするために、早い段階でガス抜きを行う。

サマーズ氏は、この自問に明確な答えを示さなかったが、同氏の金融政策へのスタンスを見る限り、ダリオ氏と同様、前者を選択しているようだ。


ページ: (1) (2) (3)

 - 海外経済, 政治 ,