消費増税・軽減税率・ポイント還元の言いようのない違和感

逆進性を助長するポイント還元

さらによくないのは、大幅なポイント還元が消費税の持つ逆進性をさらに際立たせる点だ。
大金持ちはこぞって5%還元期間に大きな買い物をするだろう。
住宅会社や高級自動車ディーラーが、いつもは扱っていないキャッシュレス決済を受け入れるかもしれない。


5%なら、手数料を引いてもかなり残る。
顧客とディーラーで分け合えばいい。
20百万円の車を買うとしたら、3%残ったとしても60万円を分け合える。
(さすがに、こんなことを政府が許さないと願っている。)

脱法行為を呼ぶポイント還元

5%という数字はあまりにも大きい。
ゼロ金利の中での5%は、容易にブローカー商売ができてしまう数字だ。
悪知恵の例を紹介しよう。
悪徳小売店A・Bが10万円の人気の消費財を販売するケースで考えよう。

  • 小売店AはブローカーCに商品を(10万円+消費税1万円=11万円)で売る。
  • Cは小売店Bに商品を(10万円+消費税1万円=11万円)で売る。
  • 小売店Bは一般顧客に商品を(10万円+消費税1万円=11万円)で売る。

対象商品が発売から行列のできるような商品なら、こうしたスキームを仲間内で組むことはたやすい。
こうした取引はモノの移動をともなわない形でも可能だ。
どういう損得勘定になるか見てみよう。


  • 小売店A: 販売による利益が上がる。
  • 小売店B: 損得なし。
  • ブローカーC: ポイント5%分、つまり5千円。

余禄である5千円は仲間内で分け合えばいい。
消費者を装うブローカーを噛ませることで、毎回ポイント5%(正確には決済手数料が引かれる)分の利益が得られる。
国家が与えてくれる利益である。
もちろん上記のように見え見えのスキームで不心得は働くものは多くないだろう。
しかし、5%という数字は、そういう不心得を後押しをしてしまう規模である。

還元ではなく引き締めで下支えを

どうしても影響を低減したいなら、還元ではなく、むしろ歳出引き締めによって行うべきなのだ。

増税には駆け込み需要がともなう。
もしも政府が消費・投資の平準化を求めるなら、駆け込み需要で需要の山ができないよう、ここを引き締めるべきなのだ。
暴論であることを覚悟した上で言えば、増税直前の政府支出を絞り込み、山を作らないようにすることだ。
(それでも産業別には悲喜こもごもになる。)
そして、増税後には過去引き締めた分も含めて多めの政府支出を行う。
あるいは、タイム・ラグを制御できるなら、金融政策でやってもいい。

政府がやろうとしていることは平準化ではない。
増税の後倒しであり、そのためのバラマキだ。
こんな話を《国のため》と信じ込んではいけない。


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