消費増税・軽減税率・ポイント還元の言いようのない違和感

軽減税率対象の謎

軽減税率の対象は以下の2点だ。


  • 酒類・外食を除く飲食料品
  • 週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)

飲食料品と外食の線引きがあいまいとの指摘があるのは周知のとおり。
本当に国税庁がかわいそうだ。
悪いのは政治家であって国税庁ではない。
それなのに事あるごとに国税庁が叩かれてきた。

なぜ叩くのかと言えば、消費者の側の観点からの話ではなかろう。
正直、消費者は今回の2%に関するかぎり、そう大きな話ではないと考えているふうにも見える。
むしろ問題を被るのは事業者の側だ。
小売・外食店からすれば、なんとも面倒なルールでしかない。

さらにあまり注目されていないが、なんで新聞が軽減対象なのか。
雑誌やテレビのニュースは対象でないのに、新聞が対象なのはなぜか。
浜町SCIでは2011年という大昔にこの展開を予想する陰謀論を紹介した。
不可解なことが不可解な陰謀論を生みかねないとの趣旨だった。

新聞社で記事を書いている人たちの中に、今回の軽減税率・ポイント還元に対しておかしいと考える人が1人でもいるなら、行動を起こすべきだ。
新聞が軽減税率対象から外れるような大きな変化を起こすまで、徹底的に政府を批判してみてはいかがだろう。

キャッシュレス化とのなぞの合体

最近、首相から飛び出したのは、増税後キャッシュレス決済で支払われた買い物に対し例えば5%程度をポイント還元するというアイデアだ。
なんでキャッシュレス決済に限定するのか。

これを聞いた時《クレジット・カードを発行する小売チェーン・通販業界へのバラマキなのか?》と勘繰った。
もしそうだとすれば、たいへんな金額の実弾だ。
キャッシュレス売上の5%を事実上売り手と消費者(と決済会社)で分けろということだろうか。
消費者は2%程度を得てトントンということなのか。
それにしても、クレジット・カードを発行する小売チェーン・通販業界は大儲けなのではないか。
それも、ポイント運営の混乱に対する迷惑料ということなのか。


キャッシュレス化が望ましい方向であるのは間違っていない。
フィナンシャル・ポインターではこれまで、ケネス・ロゴフ教授岩村充教授の提案を紹介してきた。
キャッシュレス化には、犯罪・脱税防止、社会的コスト低減、貨幣利子率の実現など多くの利点がある。
(もちろん問題点もある。)
しかし、そのための施策を無理に消費増税と結びつけるべきではない。
電子決済難民など、本来救うべき人たちを切り捨てることになりかねない。
どうしてもやりたいなら、すべての人が恩恵を受けられるよう準備する期間を設けなければいけない。
例えば、これまでキャッシュレスを拒んできた高齢者たちにも、クレジット・カードや電子マネーに加入させ、安全な使い方を教育するなどが必要なのだろう。
消費の5%の恩恵が受けられないことに対し《それは本人の選択の問題》と斬り捨てるのは酷すぎる。

また、こうしたとんでもなく面倒な仕組みを提案する割には、マイナンバー・カードの活用があまりクローズ・アップされないのが残念だ。
与党で検討しているとの報道もあるが、民間の決済サービスに連動する前に、同カードの活用を図るべきではないか。
同カードをポイント・カードとして用いるのはもちろん、同カードにクレジット・カード機能、ATMカード機能を付加するのも夢ではあるまい。
民間事業者は政府に利用料を払い、カードに相乗りする。
利用者はカードをたくさん財布に入れて歩く必要がなくなる。
(あるいは、生体認証でマイナンバー・カードを代用できるようにすれば、キャッシュレスどころかカードレスだ。)
そういうインフラができれば、ポイント還元だろうがプレミアム商品券だろうがヘリコプター・マネーだろうが、いくらでも自由自在だ。
今考えられているより、より公平なスキームとなろう。

今回本当に面倒な仕組みを実施するなら、マイナンバー・カードにとってもチャンスのように思われる。
今のところ、マイナンバー・カードが役立つ場面はあまりにも少ない。
国にとってはいい制度なのかもしれないが、国民にとっては面倒なだけのカードになってしまっている。

5%ポイント還元という先延ばし策

あらためて言うが、国民は痛みをともなうことを理解した上で増税を受け入れた。
それなのに政府は、頼まれもしないのに、実質減税を行おうとしている。
では、その弥縫策はいつまで続くのか。
ポイント還元については1年も続かないようだ。

ならば、5%分の実質増税に対してもまた何かクッションを用意するのか?
今度はレシートに対して10%ぐらいの現金支給をしてくれるのだろうか?
あるいは、自分の選挙、自分の政権が終わってしまえばあとはどうでもいいということか。

(次ページ: ポイント還元が生む逆進性、脱法)


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