レイ・ダリオ:FRBの引き締め余地は小さい

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏は、FRB金融引き締めが急速に鈍化するだろうと予想した。
デリケートな政治・経済状況の中でこれまでのペースを続ければ、景気後退を招き、有効な対処ができなくなると説明した。


もちろん(FRBのバランスシート縮小は)金融引き締めの一種だ。
資産を売却するのだから。
もしもQEが資産(市場)を支えるなら、QE巻き戻しは資産に対してマイナスだ。

ダリオ氏がFOX Businessで、量的引き締めの意味を解説した。

量的引き締めはリスクではないという意見がある。
ケネス・ロゴフ教授は、量的緩和政策とは誰も気づかなければ何の効果も及ぼさない政策だと話している。
同政策は人々の期待に働きかけるところに効果の源泉があり、誰も気づかなければマネタリー・ベースの変化は経済に影響を及ぼさないとする考えだ。
だからこそ、米国でQEを始めたベン・バーナンキFRB議長(当時)自身「バーナンキのジョーク」を吐露していたのである。

しかし、現実の世界では、ある程度期待が影響を及ぼしたのだろう。
あるいは、実際に長期国債を買うという施策に長期金利を押し下げる効果があったと見る人もいる。
いずれにせよ、レイ・ダリオ氏は、量的緩和政策が金利の低下に寄与したと考えている。
逆に、量的緩和の巻き戻しには金利を上昇させる効果があると考えている。
ならば、FF金利引き上げにせよ量的引き締めにせよ、そのペースが重要な意味を持つことになる。

私は個人的にはFRBはこれ以上たいして金融引き締めできないと考えている。
・・・FRBが来年も着実に利上げするとは思わない。


ダリオ氏は、2019年、FRBの金融引き締めペースが大幅に鈍化すると考えている。
その背景には、資産価格が危うい均衡の上に成り立っているとの認識があるようだ。
フラット化したイールド・カーブと低金利によって押し上げられた資産価格だ。

「イールド・カーブのどこに投資しても3%(の利回り)が得られる。
お金を投資して、価格変動を心配することなく3%が得られる。
一方、現在の株価から期待できる株式リターンは3%をたいして上回ることはなく、多くのリスクがある。」

このリスクは、市場が要求するリスク・プレミアムが跳ね上がったり、資産価格を形成する過程で織り込まれた金利が予想外の上昇をしたりした時に現実のものとなる。

「FRBがイールド・カーブに織り込まれているより速く利上げすれば、それはすべての資産価格に影響する。
すべての資産価格は同一の金利(カーブ)で決まっているからだ。」

市場にとってサプライズとなる金利上昇は資産価格の下落要因となる。
そして、資産効果が強く効いている米経済にもその影響が及ぶ。

「その資産価格へのマイナス効果は信用をも引き締める。
これは経済にブレーキを踏むことを意味している。」

ダリオ氏は、現在がとてもデリケートな状況にあるという。

  • 政治: 2年後の大統領選、格差拡大、ポピュリズム台頭
  • 金融政策: 正常化に対する横槍、景気後退期の金融緩和余地の小ささ

こうしたデリケートな状況の中、FRBの利上げ余地はそう大きくないとダリオ氏は言う。

「あなたはジェローム・パウエル(FRB議長の発言)によって、その実現の一端を目撃したはずだ。
・・・あなたは変化を目にし、変化に対する市場の反応を目にしたはずだ。
その変化とは、すでに(政策金利が)中立金利に近づいているということだ。」


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