日本化するオーストラリア経済

日本人のお気に入りの投資先オーストラリアに日本化の影が忍び寄っている。
あまりにも長く続いた景気拡大がその一因ではないかとの考えが広がりつつある。


「日本がそうだったように、いったんこれにはまると抜け出すのは難しい。
デフレとゼロ金利のおかげで状況はさほど悪くないが、これが長く続けばインフレが平均まで戻るのが難しくなってしまう。」

豪AMP Capital InvestorsのShane Oliver氏がBloombergに語った。
オーストラリアで低成長のトレンドが常態化するのではないかとの危惧が高まっている。
そうなれば、ディスインフレも定着し、金融政策の自由度は小さくなりかねない。

オーストラリアは長い間、日本の投資家にとってお気に入りの投資先だった。
天然資源に恵まれ、英連邦の一員であることの安心感もある。
かつては金利も相対的に高く、低金利国から大量の資金が流入した。

オーストラリアが最後の景気後退から立ち直ったのは1991年。
それ以降実に27年間も景気は拡大を続けた。
この極めて長い景気拡大にはいくつもの理由がある。


  • 中国の経済成長
  • 諸外国からの投資
  • 銀行・為替・労働市場などの規制緩和
  • 民営化・税制改革
  • 移民の受け入れ
  • 資源ブーム
  • 観光産業

1982-83年の不況の反省に立って行われた施策の成果が大きい。
こうした要因が重なって、長い間、景気後退を回避することができたのだ。
そして、もう1つ内需を拡大させた大きな原動力があった。
家計の債務拡大である。
家計が積極的に借金をして消費や住宅投資を拡大してきた。
これにより債務依存が強まり、資産バブルのリスクも高くなっている。

中央銀行は金融緩和を続けているが、金融緩和を終わらせるほどの景気回復は見られない。
債務拡大という強力なエンジンに限界が見え、中国など外需にも陰りが見える。
豪経済が岐路に立たされている。
オリバー氏は思考の転換が必要だという。

「正常な状態とは景気後退がある状態だ。
景気後退には痛みがともなうが、その後はV字回復となり、経済をより強いトレンドに乗せてくれる。」

無理に経済成長の継続を求めるのではなく、そもそもの常態に回帰すべきとの示唆だ。
刺激策はその場の救済策に過ぎず、それによる前借り分はいずれ返さなければいけない。
舵取りを誤れば、オーストラリアで低成長・低インフレ・低賃金が定着しかねない。

労働者は低賃金に満足しているように見える。
それが常態となり、受け入れられてしまった。
これは日本で起こったことだ。


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