投資

ウェルズ・ファーゴ:富豪がクレジット・ラインを設定している
2018年11月28日

ウェルズ・ファーゴが、米富豪の最近の動向を明かしている。
その中でクレジット・ラインについての動向が、富豪投資家の覚悟のほどを物語っている。


「市場が下落して、プライベート・エクイティからキャピタル・コールを受けた時のために彼らは常に(クレジット)ラインを設けておきたがっている。
主に公開市場で株を売るのではなく、そうしたラインを用いてキャピタル・コールに応じるようにしておきたいと彼らは願っている。」

ウェルズ・ファーゴのJim Steiner氏がBloombergで話した。
やや専門用語が多いので解説しておこう。
プライベート・エクイティ(PE)とは未公開株ファンドのこと。
未公開企業の株を取得したり、上場企業のMBOなどで非公開化される株を取得するファンドのことだ。
こうしたファンドは買収・投資した未公開企業のIPOや売却などによって投資回収しリターンを上げる。
大金持ちはこういうファンドに大金を投資していることがある。

PEの報酬は投資額(またはコミット金額)に対して定率の報酬のほか、リターンに応じて決まる成功報酬がある。
前者は通常の投資信託なみだが、後者はとても美味しいスケールになっている。
だから、PEは市場サイクルの底で投資をしたがる。
そもそも株式を安く買えるし、そうすれば、株式市場の回復にともなって自動的に成功報酬が増えるからだ。

PEは投資案件が確実になると、あらかじめ投資契約を結んだ投資家にキャピタル・コールをかける。
いつまでにいくら投資金を振り込んでくださいといった感じだ。
先述のとおり、このキャピタル・コールは市場の底でなされやすい。
しかし、この時お金を持っていないとチャンスを逃すことになる。

危機が深刻になるにしたがい、流動性がなくなり、そしてレバレッジもかかっている。
だから、いくらか弾薬を持っておかないといけないんだ。
下落する市場で株を売らなくてすむように。

大金持ちは、市場機能が麻痺した時でも果敢に投資をしたいと考えている。
(あるいは、麻痺しているからこそ、投資のチャンスと考えている。)
しかも、手元の株式を市場下落に備えてすべて売るつもりもないようだ。
まだ上がる可能性もあると考えているのだろう。

そして、不幸にして下落が始まってしまったら、市場が麻痺しているうちは売るつもりがないのだ。
PEからキャピタル・コールがあれば、借金してそれに応じる。
市場の機能が回復し、上場株式の価格がアンダーシュートを脱したら、頃合いを見て売却し、借金を返せばよい。
PE投資はアンダーシュートの恩恵を受け、手持ちの株式の売却ではアンダーシュートの弊害を受けたくない。
大金持ちは大金持ちであるがゆえにそれが許されるようだ。


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