レイ・ダリオ:中国の債務危機は心配無用

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、中国市場に対して強気の見方を示した。
中国政府は危機が起こる前に適切な対処を講じるだろうという。


私は中国の債務危機、債務状況について心配していない。
中国は長期投資の対象としてとてもいい場所だ。
みんなのポートフォリオにとって重要な一部となるはずだ。
・・・私は基本的に(中国に)強気だ。

ダリオ氏がBloombergのイベントで中国の債務問題に関する聴衆からの質問に答えた。
ダリオ氏はかなり前から中国市場に注力している。
2015年のチャイナ・ショックの時、一時的に積極姿勢を後退させたことがあったが、その後再び強気に転じた。
中国政府との関係も深く、昨年には中国ローカルのファンドをローンチするなど、外資系のトップを走っている。
中国通のダリオ氏が、みんなが心配する中国の債務問題を楽観視している。

中国の債務のほとんどが現地通貨建てだ。
中国の外国通貨建て債務金額はとても小さい。
だから、問題は国内だけの話であり、中国への貸し手も中国経済システムの中にいる。
そして、債務を拡散させることで債務危機に対処する能力は極めて大きい。

やや楽観的な見方ではあるが、一利ある指摘だ。
特に政府が自国通貨建てで借金をした時、その借金を返せなくなることはほぼない。
自国通貨を発行して返せばいいからだ。
ただし、この場合、潜在的に高いインフレが発生する可能性が高まる。
しかし、債権者が国内投資家の場合、この程度も限られてくる。
債権者にとって、他にお金のやりどころが少ないからだ。
特に、資本規制を敷く覚悟のある国では債権者は逃げられなくなる。
結果、債務危機にはなりにくい。
しかも、泣くのは外国人ではなく国民だから、諸外国から横槍が入ることもない。
このロジックは(資本規制を敷いた場合)ある程度日本にも共通している。


もちろん、このロジックは、国民の幸福が奪われないということを意味しない。
ダリオ氏が「債務を拡散させる」と言っているのは、過剰債務者の債務の過剰部分を財務の健全な人たちへ押しつけるという意味だ。
危機は来ないが、広く不幸になる人が出る。
でも、他にやりようがないから仕方がない。
ダリオ氏は、中国が「拡散」方法をよく理解していると話した。

ダリオ氏が中国の能力に信頼を寄せる理由は、米国における自身の失敗経験にあるようだ。
ボルカー・ショックの時(1982年)の大失敗だ。
ダリオ氏はこの失敗で無一文になった

(米国が)債務を拡散させ同時に金利を押し下げる能力について私は読み間違えた。
中国はその能力を持っている。
みんなそれ(中国の債務問題)にばかり注目し、中国の生産性向上、生産性向上のための変化に目が行っていない。

ちなみに、ダリオ氏は、自身を無一文に追いやったポール・ボルカー氏のことを「人格・知性・知識によって最も偉大な人」と称している。
中国もボルカー氏のように英断を振るうだろうと考えている。

ダリオ氏は、中国の経済サイクルが債務のリストラ・構成の段階にあると言う。
米国は、債務問題への対処が危機発生後になる。
危機が起こってしまったから、しぶしぶ債務問題に取り組むのだ。
しかし、中国は危機発生前にそれを自ら行おうとしているのだと評価する。
だから、ダリオ氏は中国に強気なのだが、もちろん何の準備も要らない市場ではない。

まだ外国人投資家に門戸を開いたばかりだ。
中国は異質の場所だから、知ることが大切だ。


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