【グラフ】実質FF金利と景気後退

JP Morganの佐々木融氏が実質(インフレ調整後)のFF金利と景気後退の傾向について一言語っていた。
興味深い観察であり、データで検証しておこう。


米国は実質政策金利はマイナスだ。
過去60年間で実質政策金利が+1.8%以下だった時にリセッションになったことはない。
まだまだ資産価格にはプラスだ。

佐々木氏がテレビ東京番組で話した。
市場の弱気センチメントに釘を刺す一言だ。

弱気に振れ過ぎた振り子

実際10月の米市場の動揺は不思議と言えるものだった。
経済成長もインフレ率も上昇していた中、金利が上昇するのは当然のことだった。
経済成長が2-3%、インフレ率が2%+とするなら、長期金利は4-5%超となってもおかしくない。
それなのに3%の長期金利が持続すると予想する方に無理があった。
あるいは、景気後退が近いから3%が持続すると予想していたなら、そもそも株価は高すぎたのだ。

株価は高すぎたから正しく調整したのか、それとも振り子が逆側に極端に振れたのか。
過去の株価が割高だったというのはある程度のコンセンサスだろうが、今の株価が短期的に適正なのかどうかはわからない。
今では忘れられているが《最後のひと上げ》の可能性はゼロではない。

過去60年を検証

佐々木氏の発言は、ファクトを見る限り、すぐさま景気後退入りする兆しはないと述べたものだ。
だから、資産価格にはもうしばらく追い風が吹くかもしれない。
佐々木氏が言及した60年を検証しよう。
(こうした検証ではいくつかの壁が立ちはだかる。
経済変数の具体的定義をどうするか、連続したデータが得られるかなどだ。
ここでは「実質政策金利」として実効FF金利から米全国CPI総合の前年同月比を差し引いたものを用いる。)


実効FF金利(青)、米CPI総合上昇率(赤)、実効FF金利実質(緑)(1960-80年)
実効FF金利(青)、米CPI総合上昇率(赤)、実効FF金利実質(緑)(1960-80年)

グレーの部分が景気後退期、グリーンが実質の実効FF金利だ。
1960-80年では、佐々木氏の言うように、グレーに入る前の実質FF金利はかなり高い水準にある。
つまり、金融が引き締まった後に景気後退が起こっている。

実効FF金利(青)、米CPI総合上昇率(赤)、実効FF金利実質(緑)(1980-2000年)
実効FF金利(青)、米CPI総合上昇率(赤)、実効FF金利実質(緑)(1980-2000年)

1980-2000年でも傾向は変わらない。
景気後退入りの直前の実質FF金利はかなり高く、中立金利を超えていた可能性が高い。

(次ページ: 低金利時代の変化)


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