レイ・ダリオ:5-10年は低リターンが続く

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、今後5-10年の米市場の低リターンを予想した。
金融緩和による先食い分を返済する時間が続くことになるとの考えだ。


5-10年で言えば、米市場で大きなスクイーズ・アウトが起こり、とても長い間、低リターンの状況が続くと考えている。

ダリオ氏がBloombergイベントで語った。
米市場は金融引き締めの段階に入っており、この過程ではほとんどの資産クラスで資金流出が避けられないという。

「たくさんのマネーが流出するために、金利が引き締まる。
資産クラスはかなりの高水準まで押し上げられてきた。」

ダリオ氏はリーマン危機後の金融緩和期を振り返った。
危機対応の金融緩和策で金利は(長期金利まで含め)押し下げられ、系に流動性が大量に供給された。
こうした政策が行われれば、当然ながら将来キャッシュフローの現在価値は高まる。
将来キャッシュフローを割り引く割引率の主たる構成要素である金利が下がるのだから当然だ。
結果、現在価格の総和である資産の理論価格は上昇してきた。

「これはやり尽した。」

投資家にとって金融政策との蜜月期間は終わったのだ。
金融政策が正常化に向かえば、過去起こったことが程度はどうあれ巻き戻すことになる。


「短期金利と長期の期待リターンの間のスプレッドが圧縮され、同時にリターンも圧縮される。
主要準備通貨である米ドル、ユーロ、円がゼロ金利近傍にあり、それが量的緩和によって支えられている。
だから、(それが巻き戻せば)多く(の資産クラス)がスクイーズ・アウトを被ることになるだろう。」

ダリオ氏は、すべての資産クラスが互いに競合状態にある点を強調する。
金利上昇とは債券等が下落し将来の利回りが上昇することを意味する。
そうなれば、ある程度は債券等が買われるようになり、逆にその他の資産クラスがその分売られることになる。
金利の変化とはそうした現象を通して、すべての資産クラスに(スピードはまちまちにしても)伝播していく。
だから、金利上昇は(それだけなら)すべての資産クラスにとって凶報なのだ。

こうした危うい局面で、さまざまな経済主体、とりわけ企業はどのようなポジションをとっているのか。

世界は概してロング側にレバレッジがかかっていると考えている。

長く続いた超低金利が企業のレバレッジを高めている。
株式はこれまで、将来リターンの多くを先食いしてきたのだ。
これが巻き戻せば、先食いされた分だけ低いリターンを甘受せざるを得なくなる。

「資産リターンの1つの源泉は、金利がROEより低かったという事実だ。
このため、大量の自社株買い、M&Aつまり企業買収、買収価格の競り上がりが見られた。
さらに減税による刺激策、法人税率引き下げも株価を上昇させた。
これらすべてのことが資産価格を押し上げてきた。」


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