チューダー・ジョーンズ:バブル震源は企業クレジット

ブラック・マンデーを予想したことで知られるヘッジ・ファンド業界のベテラン ポール・チューダー・ジョーンズ氏が、債務バブル崩壊のリスクを警告している。
次の崩壊は企業クレジットで起こると予想し、トランプ政権の経済刺激策が崩壊の引き金を引くという。


上空5万フィートからの視界では、おそらく世界的な債務バブルになっている。
世界の債務対GDP比率は史上最高だ。

チューダー・ジョーンズ氏のコンファレンスでの発言をInstitutional Investor 1)ほかが伝えている。
債務バブルが終わりに近づいているのかどうかはわからないとしたものの「本当に難しい時代に差し掛かった」という。
経済の許容能力に対して、債務があまりにも大きくなりすぎたからだ。

「ゼロ金利/マイナス金利は過剰な貸出を助長した。
これこそがこんな危険な時代を生み出したんだ。」 2) CNBC

今回の債務危機の震源地はどこか。
2007-08年のサブプライム/リーマン危機では不動産・住宅ローンだった。
チューダー・ジョーンズ氏によれば、今回の震源は企業のクレジット(債券・借入)だという。

「この数日(の下落)のようなものになるだろう。
とても恐ろしいことだ。
この信用バブルの一側面は、多くの市場における完全な流動性枯渇だったからだ。」

ハイイールド債やハイイールド・ローンに限らず、企業のレバレッジは超低金利で高まっている。
そこで問題が起これば、他の市場にも流動性枯渇という形で波及するというのだ。
同氏はいつか企業クレジット市場で「本当に恐ろしい瞬間がやってくる」とし、政策決定者に試練の時が訪れると予想した。。


では、債務バブル崩壊はいつやってくるのか。
それを占うには、何がバブルを崩壊させるかを考える必要がある。
チューダー・ジョーンズ氏は、それがトランプ減税だという。

「明らかに減税とそれがもたらした経済活動はFRBに引き締めを強いた。
減税の約束がなされたのは、FRBが引き締めを始める前だ。
トランプ大統領が大統領選の活動をしている時、金利はゼロだった。
金利がどうなるかわかっていたら、こんな減税をしていただろうか?
私はしていなかったと思う。」

景気拡大期に打たれた大規模財政刺激策が景気とインフレを吹かしてしまった。
皮肉にもそれがFRBを金融引き締めに向かわせている。
これがバブルを弾けさせるとの読みである。

もしもこの読みが正しいなら、2年後の大統領選はさらなるリスクだろう。
選挙のためにトランプ政権がさらに経済刺激策を打つようなら、FRBの引き締めはさらに加速するかもしれない。
刺激策の効果が十分でなければ、バブルは弾けやすくなる。
あるいは、米中摩擦などで改善が見られれば、それもリスクになりうる。
関税が引っ込められればインフレ懸念は一部後退するが、それでも経済は過熱する。
今は、経済を吹かすことがリスクなのだ。

あるいは、FRBが大統領の度重なるプレッシャーに負けて、(あるいは経済の軟化で)金融緩和に舵を切り返すのだろうか。
それなら、バブル崩壊は遠のくが、この場合はさらなるバブル成長がリスクとなる。
いずれの場合も、景気後退の直前とは先が読みにくいものなのだ。

チューダー・ジョーンズ氏は、それをまさに株式市場について述べている。
株価が100分位で70パーセンタイル(平均が50)の割高圏にあるとしながら、それが株価下落を確約するものではないと諭している。

株式とは興味深いものなんだ。
経済的に難しい時代に入る、おそらく来年経済成長が鈍化するような場合でも、弱気相場に入ることを意味するわけではないんだ。

時代は変わった。
誰も何が起こるかはわからない。 1)


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