レイ・ダリオ:アップサイドはリスクに見合わない

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、FRBの利上げペースを心配した。
金利水準は資産価格を害するレベルまで上昇したと指摘した。


資産価格はめいっぱいの水準で、リスクは非対称だ。
・・・
アップサイドは強くなく、リスクに見合わない。

ダリオ氏がCNBCで話した。
何が市場を不安定にしているかと言えばFRBの金融政策正常化だという。
ダリオ氏はFRBが年内あと1回、来年2-3回、おそらく3回利上げすると予想する。
これが資産価格にとって問題になっているとし、FRBの利上げペースに警戒した。

「資産価格を損なう水準まで利上げが進んだ。
イールド・カーブもフラット化した。
・・・
FRBは経済活動を見る前に資産価格を見なければいけない状況になった。」

ダリオ氏はFRBの置かれた難しい状況を代弁する。
すべての資産価格の理論値は将来のキャッシュフローを適切な金利で割り引いて計算されたものだ。
そして、この《適切な金利》がいわゆるイールド・カーブと密接な関係にある。
純粋期待仮説のアイデアを用いれば、イールド・カーブとは現在の金利と市場が期待する将来の金利の合成ということになる。
つまり、イールド・カーブには将来の金利の市場期待が織り込まれている。
言い換えれば、将来の《適切な金利》と思われるものの合成なのだ。
その水準を上回る利上げをすれば、理論上、資産価格は下落する。

FRBに苦心を強いているのは政府の財政政策だ。
景気を押し上げる財政刺激策自体が問題の1つになっている。


「減税で与えられた財政刺激は、たるみのない供給制約の中で行われた大規模な刺激策によるものだ。
だから経済自体が、おそらく過度に金利上昇圧力を及ぼした。」

伸びきった経済を刺激すれば、経済もインフレも過熱する。
ここで言うインフレとは消費者物価もそうだし、資産価格もそうだ。
FRBはある程度インフレを予防・退治せざるを得ない。
つまり利上げであり、バランスシート縮小である。
背中を押されたFRBが金融を引き締めれば、資産価格がまず敏感に反応するだろう。
資産価格が下落すれば、資産効果の影響が強い米経済には大きなリスクになる。

さらに、財政政策は米国債市場を軟化させる。

「債券には特に来年以降、需給の問題がある。
減税と財政悪化によって政府は国債発行を増やさざるをえない。
国内だけでその量を吸収するのは難しく、外国の投資家に買ってもらうことになる。」

将来の景気後退期に利下げ余地を稼ぐために今利上げすべきとの意見に対しては、ダリオ氏は「かなり悪いロジックに聞こえる」と話している。
金融を緩和的にして多少インフレが高まってもコントロール可能なのに対し、市場が下落してしまえば挽回がきかないという。
インフレ昂進は懸念なのか、杞憂なのか。
米社会で見方が分かれている。

「私ならイールド・カーブに織り込まれている金利より速く利上げしない。
たぶん少し小幅に利上げするだろう。
・・・FRBはもっとマクロ・プルーデンス政策を用いるべきだ。
・・・全体の金利で対処するのではなく、規制当局が特定のバブルをターゲットにするようなやり方だ。」


 - 海外経済, 投資