グリーンスパン:スタグフレーション入りへ

アラン・グリーンスパン元FRB議長が、トランプ政権の放漫財政を批判した。
インフレの兆候がある中で景気後退期入りすれば、スタグフレーションとなりかねないと話した。


「(米好景気)にはいくつか浮力を感じさせるところがあるが、その裏では浸食が進んでおり、正さないなら最終的に経済は機能不全に陥ってしまうだろう。」

グリーンスパン氏はBloombergで、現在の米景気に潜むリスクについて警告した。
同氏はFRB議長の時代から度々、政府に財政再建を求めてきたが、それが聞き入れられることはほとんどなかった。
結果、米経済は債務膨張とともに金利を低下させていかざるをえなくなった。
そうしないと金利が払えない、つまり、経済のつじつまがあわなくなってしまうのだ。

「米国は今、年1兆ドルもの借金をし、ネットで債務を積み上げている。
債務対GDP比率は急騰している。
一方で人口動態についても近い将来高齢化が加速するだろう。」

まさに米国でも日本化が進んでいる。
程度こそ違えど、米国も、そして中国も債務拡大という問題に対処できていない、あるいはその意思が乏しい。
高齢化という人口オーナスがやってきたのにだ。
グリーンスパン氏は米国の債務問題の原因を分析する。

原因は歳出と税収の両方にある。
私は減税を全面的に支持する立場だが、その前提は財源があること。
政府は法人税の限界税率を大幅に引き下げたが、かわりの歳入なしに減税をすべきでない。
さもないと問題を抱えることになる。


世界のほとんどの国が、悪化した財政の中でも減税ばかりを模索している。
もちろん、ケインジアン的な考えによれば、上げ潮派の理屈も理論上はありうる。
しかし、過去数十年の歴史、古今東西を見ても、上げ潮に乗って財政問題を持続的に解決した先進国は多くない
あったとしてもマージナルな経済・期間にとどまる話であり、世界を代表する経済の話ではない。
グリーンスパン氏によれば、政府債務の増大は経済成長に悪影響を与えるという。

「(平均3%成長が今後5-10年続くという見込みは)明らかに減税の結果として得られることはない。
減税は(経済に)浮揚力を与えたし、今もその感覚が残っている。
しかし、現実の債務(増大のマイナス面)を打ち消すにはほど遠い。」

債務拡大にはケインジアンのいう財政刺激策というプラス面がある。
ところが、借金の増大にはマイナス面もあり、米政府の債務急拡大では後者の方が大きく効いてくるだろうとグリーンスパン氏は予想する。
同氏は次の景気後退について「債務が劇的に急増しているという事実によって引き起こされる」と予想する。

一方で、米国には久しぶりにインフレの兆しが見え始めた。
これがグリーンスパン氏にスタグフレーションを心配させる。
ボルカー・ショックの序章となった1980年代のスタグフレーションだ。

高い失業率と高いインフレが共存する状態であり、元々のケインジアン・モデルが起こりえないとしたことだ。
現状の多くの兆候から、私たちは今、そうしたタイプの期間に入りつつあるように見える。


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