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ロバート・マートン:分散はタダ

ブラック-ショールズ方程式の理論的証明で1997年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・マートンMIT教授が、低金利時代の投資戦略について語った。
投資家は目標とするリターンのためにリスクを最小化する策を考えるべきとし、あらためて分散投資の重要さを説いた。


魔法なんてないんだ。

マートン教授は14日の日本証券アナリスト協会での講演でこう話し始めた。
リスクフリー資産を超えるリターンを上げる無リスクの資産などないと話し、より高いリターンを取るにはリスク・テイクが必要と説明する。
だから現実の投資の現場では、投資家が必要とする投資リターンのターゲットを設け、そのリターンを実現するポートフォリオの中でリスクを最小化すべきと説いた。
(本講演で教授が意図した「リスク」とは主にσリスクである。)
その上で、低金利時代におけるフィクスト・インカムと株式について投資戦略を提案している。

フィクスト・インカムでリターンを上げるには2つの方法があるという。

  • 投資家が望むキャッシュ・インと投資対象のキャッシュ・アウトの「ミスマッチ」(これもリスク)を許容する。
    短期で回収したいのに長期債に投資するなど。
  • 信用リスクをとる。

マートン教授は、イールド・カーブの形状によってリターンに傾向が見られるとし、その経験則から考えられる戦略を提示している。

期間スプレッド 期間プレミアム 戦略アイデア
大きい 大きい デュレーション長期化
カーブの最もスティープなところに
小さい 小さい デュレーション短期化
マチュリティ短期化

これを信用リスクの取り方と組み合わせると次のようになるという。


イールド・カーブ形状
正常 平坦・逆転
信用
スプレッド
デュレーション長期化
低格付
デュレーション短期化
低格付
デュレーション長期化
高格付
デュレーション短期化
高格付

また、外債投資においては為替ヘッジを行うとリターンのボラティリティが目覚ましく低下するという。
株式についても低下するものの、その程度ははるかに小さいという。

ロバート・マートン教授

マートン教授は、リスク管理には3つの手法しかないという。

  • 分散投資
  • ヘッジ: リスク資産をリスクフリー資産に置き換える。
  • 保険: リスクに備えてオプションを買う。

この中でシャープ・レシオをコストなしに改善してくれるのが分散投資だ。
教授の結論はハリー・マーコウィッツの言葉

分散こそファイナンスにおける唯一のフリー・ランチなんだ。

と同じなのだ。


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