ガンドラック:金利上昇が重しになる

新債券王ことDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏がウェブキャストで金利上昇の悪影響を警告している。
社債市場でリスクが高まっているほか、すでに住宅・自動車・銀行で金利上昇が重しになっているという。


公的債務が拡大しているのは本当にまずい。

ガンドラック氏がウェブキャストで発言した(Reuters(1)
同氏はトランプ大統領の経済政策を借金による将来からの前借りにすぎないと考えている。
結果、経済やインフレは過熱する。
これをならすためにFRBは金融政策の正常化(利上げとバランスシート縮小)を進めるが、これが金利を上昇させ経済の重しになる。
ガンドラック氏はFRBの仕事を「玉砕作戦」と心配する。

ガンドラック氏の経済モデルによれば、米インフレは今後数か月2%を割り込むだろうという(Bloomberg(2)
ただし、油断も悲観もできない。
その後再びインフレ圧力が強まると予想されるからだ。
ある時点で関税のインパクトが始まるほか、公的債務負担が「5年のうちに問題化するだろう」と言う。

需給面でも逆風が吹いている。
ガンドラック氏によれば、外国人による米国債保有が「相当大きく縮小している」のだという。
これには、外国人が米国債投資をする際のヘッジコストも効いているようだ。
外国人が買ってくれなければ国内投資家に買ってもらわなければならないが、そのためにはインフレ以上の名目利回りが条件となっている。
(名目長期金利が0%近傍にペッグされている日本からすれば羨ましい話だ。
日本も、国内投資家がマイナス実質利回りの債券を買わないようにならないと状況は正常化しない。)


多くのセクターが割高に見えるが、中でも最悪に見える、そして最悪なのが社債だ。
最終的に景気後退がやってくれば、ジャンク債は特に危険になる。(1)

ガンドラック氏によれば、9月の米社債市場の割高感は史上最高レベルに達し、そこから金利上昇によりアンダーパフォームが始まったという。
同氏は、社債市場について2つのリスクを指摘し、さらなる金利上昇が投資リターンの大きな低下につながりかねないという。

  • 高いレバレッジによって企業収益が圧迫されている。
    BBB格の社債でもレバレッジだけを見るとジャンク債なみの状態なのだという。
  • 投資適格社債の信用度が悪化している。
    投資適格債が格下げでジャンク債となれば、市場が吸収するのが難しくなる。

長く続いた非伝統的金融政策はすっかり経済を超低金利に慣らしてしまった。
損益計算書においては利払いが小さいことを前提に計画が作られ、貸借対照表においてはレバレッジを高めることが株主のリターンを高めることになった。
しかし、それらはいずれも超低金利がいつまでも続くことを前提としていた。
一たび金利が上昇基調となると、経済の持続性を担保するはずの前提が崩れてしまった。

ガンドラック氏はすでに弱気相場が始まった3セクターを挙げている。
住宅、自動車、銀行の金利敏感セクターだ。
中でも住宅については、いくつかの地域で実質ベースでの住宅価格下落が始まった点を指摘している。

「このナラティブはどんどん強くなっていくだろう。
高コストな地域における固定資産税・州税の控除がなくなったからだ。
たくさんの地域で住宅の在庫が積み上がっている。
本当に急激なペースだ。」

ゴールドマン・サックスは今年1月、税控除縮小法案の通過にともない住宅市場の見通しを下方修正している。
住宅ローン金利と地方税の控除縮小である。
この税制改正は豊かな州、民主党の強い州に厳しくあたるだろうと予想されていた。
ガンドラック氏は、今それが始まったと感じているのだ。


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