米ドル

 

Fox:インフレの惨さを思い出せ

Fox Business(ETFTrends.com)が、投資においてインフレを勘案するよう奨めている。
低インフレの時代で意識こそされていなかったが「インフレの浸食」の惨さは直観以上のものであるようだ。

「低インフレに騙されてはいけない:
インフレとは少なくとも長期的には投資コミュニティにとって現実のリスクだ。
実際、米国が1971年に金本位制を廃止してから、累積インフレ率は500%を超える。
これを勘案すると、1971年の1ドルの購買力は現在の約6ドルに相当することになり、インフレの極めて大きな長期的影響を示している。」


米社会でインフレへの警戒感が高まりつつあるようだ。
1981年のボルカー・ショックの後、米国は抑制されたインフレの時代に入った。
さらにリーマン危機後のデフレによって、人々はインフレを求めるようにさえなった。
つい最近までデフレこそリスクであり、インフレは歓迎すべきものだったのだ。
こうした低インフレの中で、投資家は投資判断にインフレを考慮することも少なくなっていた。

ところが、低インフレ環境が変化する兆しが見えてきた。
記事が金本位制廃止に言及したのは、ドルが価値のアンカーを失ったことに加え、通貨発行のスタンス変化に注目したからだろう。
金本位制では通貨発行量(あるいは金準備)に厳しい制限がかかっているが、それを廃止すればその桎梏が外れる。
そうした説明には(現実はどうあれ)最近の各国の量的緩和と重なるところがある。
財政面でもしかりだ。
1960年代後半ベトナム戦争等の戦費支出がインフレを引き起こし、スタグフレーションの芽となった。
歳出の中身はともかく、米政府の財政は昨年末からの大規模財政刺激策によって急激に悪化している。


さらに、財政刺激策は労働市場をタイトにし、物価上昇圧力を高めている。
貿易戦争の武器、関税導入も本格化すれば絶大な物価上昇要因だ。
こうしたインフレ懸念が現実のものとなれば、人々の貯蓄は目減りの危機にさらされることになる。
これに対する心配が米投資家の間で高まりつつあるようなのだ。
Blackstoneのジョー・ザイドル氏は、米経済が今後インフレ・金利上昇の時代に入るとし、インフレ時代の資産クラス選択の重要性を説いている。

インフレと言えば賃金も気になるところだが、ここでは投資の話をしよう。
Fox記事は、インフレが投資に及ぼす効果を実証している。

「驚くことではないが、インフレ率は投資の『実質』(インフレ調整後)価値を大きく減じるかもしれない。
・・・
(インフレは)約52%ポイントもの『インフレによる浸食』を及ぼし、累積の『実質』投資価値を大きく減じてしまう。」

この52%という数字は、1988年12月から2018年9月までS&P 500に投資して得られたトータル・リターンに占めるインフレの割合だ。
すでに比較的低インフレにあった時代以降でさえ、インフレは私たちの財産を侵食する。
現状、インフレが昂進するとの確証はもちろんないが、それでもインフレはリスク・シナリオに入るべきだ。
記事では、予期せぬインフレ昂進にも耐えうる資産クラス、ポートフォリオ構成が重要と説いている。

「私たちは、ディフェンシブなエクスポージャーのためには包括的な実物資産の戦略こそ最も有効で効率的と考えている。
過去さまざまな市場サイクル局面で魅力的なリスク調整後トータル・リターンを生み出し、インフレ上昇に対する守りとなる証券へのエクスポージャーでないといけない。」


 - 海外経済, 投資 , ,