ハワード・マークス

 

ハワード・マークス:アンダーシュートを待て

Oaktree Capitalのハワード・マークス氏が、虎視眈々と仕込み時を狙っている。
景気サイクルを無視して借りこんだ企業は景気後退期に困難に陥り、それが投資のチャンスになるという。


「1973年誰かが私に強気相場の3段階を教えてくれた。

第1段階: わずかな人だけが改善に気づく。
第2段階: みんなが改善に気づく。
第3段階: みんなとその兄弟まで『改善は永遠に続く』と言う。」

マークス氏がポッドキャストで昔話を話している。
新著『Mastering the Market Cycle』(アマゾン)に合わせてオークツリーの幹部らと行った座談会での話だ。
マークス氏は、市場サイクルこそ投資の世界で最も重要なことの1つと話す。
サイクルに影響される市場や心理が投資のチャンスを与えてくれるからだ。

しかし、市場の動きを予想するのは容易なことではない。
市場は単純な「機械」ではなく、複雑な市場心理の影響を強く受けるためだ。
マークス氏は、投資家はそれを受け入れて市場に対していくしかないと言う。

「市場は親切な機械じゃない。
Peter Bernstein(経済学者、歴史家)が昔私にこう言った。
『あなたが望むから市場は高いリターンを与えてくれるのではない。
あなたが大金持ちだから市場はサイクルを与えてくれるのではない。』」

サイクルが読み切れないなら、他に何がやれるのか。
そこに泳ぐ人間たちを観察することだろう。


「重要なのは、心理とは行き過ぎる傾向があるということ。
幻滅の雰囲気が蔓延すると、みんな何から何までその調子でとらえるようになる。」

市場のオーバーシュート、アンダーシュートを見逃すなというのである。
マークス氏は10月初旬、約85億ドルのディストレスト債ファンドを用意したと明かしている。
いつか来る景気後退を前に、着々と準備を奨めているのだ。
マークス氏はクレジット市場の特徴に注目する。
何か不確実なことが起こると拒絶反応を示すことがあり、突然、企業が借入できなくなることがあるというのだ。
これまで企業の財務が健全だったからといって、安心すべきではないという。

「上から下まで企業を見て行っても、借金を完済できる企業なんてほとんどないんだ。
ほとんどの企業は借金をロール・オーバーしているだけだ。」

経済環境が厳しくなれば、返済負担が重く感じられるようになるだろう。
もちろんFRBは利下げに転じるかもしれない。
しかし、いくらFF金利が下がっても、リスク・プレミアムが拡大すれば出来上がりの金利が下がるとは限らない。
クレジット・クランチとなれば、金利水準にかかわらず借入れができなくなってしまうこともある。
長く続いた超低金利はそうした局面でのリスクをさらに大きくしてしまった。

クレジット市場の門戸が広く開いている時は、お金を借りるのはたやすい。
調達力に劣る企業でも本来可能な額より多く借りられるだろう。
これは貸し手の誤りであり、貸し手もまた借金しているかもしれない。
環境が循環的にあるいは特有の理由で変化した時、借りた金額が苦しい時期には維持できない金額であったことが判明する。


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