ブラックロック

 

ブラックロック:金が上がった4つのワケ

資産運用の世界最大手BlackRockのRuss Koesterich氏が、10月の金価格上昇の理由について解説した。
その上で、金がヘッジ手段として有効となる環境について考察している。


「(10月は)株式が年内最大の下げに苦しんだほか、米国債のような伝統的なヘッジ手段が損失を打ち消すほどには上昇しなかった。
その結果、株式60:債券40の典型的なポートフォリオは金融危機以来最悪の下落を被った。」

ケストリッチ氏が自社ブログに書いている。
10月の下落では分散投資が期待した効果を発揮しなかった。
このことはジェフリー・ガンドラック氏も指摘していたとおりだ。

浜町SCIは過去50年あまりのデータから、明確な例外的状況を除くほとんどの期間で株式リターンと債券リターンの相関が正(≒株価と金利が逆相関)であることを検証している。
これは、金利が上がれば株価・債券価格ともに下がりやすいことを意味している。
(だからと言って、分散投資が無価値であると意味するわけではないことに留意したい。
分散投資の恩恵とは逆相関だけから得られるものではないし、リターンが持続的にマイナスになる異なる資産クラスのペアは理論上存在しえない。)

投資家は市場が下落するとリスク対策に関心を寄せるようになる。
みんな債券以外にもっと良いヘッジ手段がないかと模索しているのだ。
そこで真っ先に名前が上がるのが、オルタナティブ投資の筆頭格 金である。

「興味深いことに、金は長らく死に体を続けていたが、上昇した。
金が上がっただけでなく、ドルが堅調な中でそうだったのだ。」

金(青、左)とドル指数(赤、右)
金(青、左)とドル指数(赤、右)


ドル建て金価格がドル相場と逆に動くことは有名な話だ。
ドルが強くなればドルで表される金の価値がある程度下がるのは当然のことだ。
しかし、10月に起こったのは、ドル相場があまり動かない中での金上昇だった。

金(青、左)とドル指数(赤、右)(近時)
金(青、左)とドル指数(赤、右)(近時)

この現象についてケストリッチ氏は4つの理由を挙げている。

1. 金が「安く」なった
ケストリッチ氏は、金価格 対 米マネー・サプライ(M2)比率が1を中心に中央回帰する傾向があると指摘している。
これが9月末に0.7と2005年以来の低水準になっていたという。
「この比率が、長期平均より25%下と定義される低水準にある時、その後の12か月の平均リターンは15%だった。」

もっとも、この法則にも外れることはある。
ケストリッチ氏は7月、同じロジックによって金が1割ほど割安と言っていたが、その後も金は着々と値を下げた。
比率が下がれば後に上がる傾向が増えるのだろうが、それが短期の上げ下げを的確に言い当てるわけではない。

2. ドル相場が安定

3. 実質金利が頭打ちかも

4. 株式ボラティリティが帰ってきた
「ボラティリティが急騰した時、金は対株式で最高のパフォーマンスを上げてきた歴史がある。
過去ボラティリティが20%を超えた月、金は通常5%超も米国株をアウトパフォームしている。」

ケストリッチ氏は、今後の金相場を占うのに上記2-4が重要と書いている。
これら要素が不利な方向に動かなければ、金はヘッジ機能を発揮するだろうと言う。

この指摘は理に適ったものであるが、状況によってはあまり役に立たないのかもしれない。
例えば、将来の主たるリスクを実質金利上昇と想定した場合、金のヘッジ機能は乏しいことになる。
そして、その想定こそが10月に起こったことだったのだ。


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