ガンドラック:Appleよ、お前もか?

新債券王ことDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、弱気のナラティブをばら撒いている。
最後の砦と思われたAppleの株価下落が市場の方向性を象徴するものと滲ませている。


Apple(AAPL)は業績開示とともに7%下落した。
『ブルータス、お前もか?
カエサルもこれまでか!』

ガンドラック氏が2日ツイートした。
同氏の不吉な弱気予想が止まらない。
高PERのテクノロジー銘柄ならまだしも、Apple株でも市場に弱気が走った。
7-9月期の業績こそ事前予想を上回ったものの、10-12月期見通しがやや物足りなかったようだ。
経済・市場の先行きについて市場が慎重になっている。

ガンドラック氏は以前から、足元の好景気が財政刺激策による一時的な浮揚にすぎないと主張している。

この日ガンドラック氏は久しぶりにメディア狩りをしている。
ターゲットは宿敵Bloombergだ。

今日Bloombergが、10月のMBS市場の(実在しない)『血の海』について記事を掲載している。
MBS指数のリターン:-0.6%
投資適格社債ETF(LQD)リターン:-2.1%

いったい何が起きたのか、Bloombergの該当記事を読んでおこう。

「先月のMBS市場の血の海は、FRBの支えなくして将来がどうなるかを指し示している。
投資家は今、出血を止めるために誰かが介入してくれるのかどうか決めあぐねている。

10月のMBSのリターンは米国債に比べ37 bpsも劣っている。
米大統領選挙でのドナルド・トランプ勝利というサプライズがあった2016年11月以降で最大だ。
先月の弱さは、金融危機後にFRBが市場を支えるために抱え込んだ1.7兆ドルのMBSを巻き戻すため、MBS買入れを終えるとともに起こった。」


ガンドラック氏は記事がMBSを米国債とだけ比べたことを批判している。
フィクスト・インカムの中でMBSと同様、相対的に低リスクとされる投資適格債とも比較するよう促している。

MBS ETF(青)、米国債ETF(赤)、投資適格債ETF(緑)青:Vanguard Mortgage-Backed Securities (VMBS)
赤:ProShares Ultra 7-10 Year Treasury (UST)
緑:iShares iBoxx $ Investment Grade Corporate Bond (LQD)

むしろMBSの方が金利上昇によく耐えており、わずか37 bpsの違いは「血の海」とは程遠い。
(上記グラフで選んだETF間の比較では、むしろMBSの方がアウトパフォームしている。)
一方、投資適格債の方がはるかに明確なアンダーパフォームだ。
Bloomberg記事には第2段落を書き足したとの注記が入っているが、何が足されたかは不明だ。
もしかしたら「血の海」の根拠をより明確にしたのかもしれないが、それでも説得力は感じられない。

FRBは10月、静かにバランスシート縮小を開始した。
このタイミングで37 bpsのアンダーパフォームがあったので「血の海」と書いてしまったのだろう。
しかし、金利上昇で大騒ぎした10月に37 bpsの下落ならよく耐えたと言うべきだろう。

ガンドラック氏は、何から何まで弱気に見るタイプの終末論者ではない。
何が悪くて何がいいか、数字で検証する是々非々の論者だ。
そして他人に対してとても厳しい人なのだ。


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